住宅購入といえば新築、という時代から、中古マンションを買ってリノベーション、という選択肢が一般的になってきた近年。
ライフスタイルや家族構成に合わせた住まいをつくれることで人気が高まっています。
新築購入と比べると”検討&選択”するシーンが多く、頭を抱える方が多いのもまた事実。
今回ご紹介するのはリノベ―ション住宅の施工実績2万戸という実力派カンパニー・インテリックスの滝川智康さんの著書『「中古マンション×最小寸法」でかなえる 最高のリノベーション』。
マンションリノベーションを検討している人が “限られたスペースと予算””で理想の住まいや暮らしを手に入れるために知っていてほしい内容を、3回に分けてご紹介します。
理想の住まいと暮らし、その物件で本当に実現できる?

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中古マンションでリノベーションを成功させるためには、まず物件の見極めが必須。
やりたい工事ができるか、理想の生活ができそうかなど、購入後に後悔しないように抜かりなく事前チェックをしましょう。
はじめに。
私は30代後半の2児の母で、雑誌やWEBサイトなどで中古リノベーション住宅の取材・撮影・執筆をしているフリーライターです。
過去には土地を購入して注文住宅を建てようとしたり、沖縄に中古マンションを買ってリノベしようと動いていた時期もありましたが、現在は息子2人と約40平米のリノベ賃貸に住んでいます。
共有部分の玄関ドアや窓のサッシは変えられない

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中古マンションの一室を購入して、自由にリノベーションできるのは “専有部分”だけです。
逆に、”共用部分”は勝手にリノベ―ションができないので注意が必要。
例えば、玄関ドアや掃き出し窓のサッシ、バルコニーなどは、専有部分と考えがちですが、実は共用部分。
ですので、勝手に交換や工事をすることができません。

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中古マンションでは、玄関ドアやサッシは古さが目立ちやすい部分です。
見た目だけでなく、しっかり開閉、スライドするか、ゆがみやガタつきがないかなど、使い勝手をしっかりチェックをしましょう。
フローリングが貼れないってどうして?

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好みの床材に貼り替える、というのもリノベーションの醍醐味のひとつ。
温もりを感じる無垢材を使ったり、ヘリンボーン貼りにしたりと、こだわりたいポイントですよね。
でもちょっと待って。実は、フローリングにできないという物件もあるのです。
階下へ音が響きやすくなる、という理由から、フローリングへの変更を制限していたり、遮音性能の指定をしているケースがあります。
前述の工事可能範囲とあわせて管理規約を必ずチェックしておきましょう。
開放的なLDKを実現するために “壁の構造” を知ろう

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「壁を撤去して、広く明るいリビングをつくりたい!」というのは一番多いリクエストなのだそう。
でも、建物の構造によっては壊せない壁もあるので、思い描いた広さを実現できないこともあります。
マンションの多くは「ラーメン構造」と「壁式構造」に分けられます。
「ラーメン構造」なら室内の壁の大部分を撤去可能で間取りも自由ですが、建物を支えている大きな柱や梁が出てきます。
一方、「壁式構造」だと建物を支えている “耐力壁” を撤去できませんが、柱や梁が出ないため空間はスッキリします。
壁の構造や既存の間取りを確認したうえで、「ラーメン構造」なら大きな柱や梁は邪魔にならないか、「壁式構造」なら “耐力壁” を残したまま理想の間取りにできるかなどを見極めましょう。
下見では必ず “管理状態”を見る

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「中古物件のいいところは、管理状態を確認してから購入できること。中古マンションは管理を買うべき」という話を何度も聞いてきました。
私は年間50軒以上のリノベ済みマンションを取材していますが、確かに、と心底感じます。
それは、管理状態の良し悪しで、同じ築年数のマンションでもその価値やコンディションがまったく異なってくるから。
そして、個人的には、共用部分を観察することでどんな人が住んでいるかを感じ取ることがができるのも、歴史があるからこそのメリットだと思っています。
これからコミュニティがスタートする新築だと、住民同士のコミュニティや管理状態などは住んでみないとわかりません。
ということで、マンション管理面のチェックポイントを紹介しておきましょう。
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- エントランスはピカピカに清掃されているか
- ポストの扉がゆがんだり壊れていないか
- チラシが散乱していないか
- ゴミ置き場は清潔に保たれているか
- 廊下にゴミや私物などが放置されていないか
- 自転車置き場は整備されているか

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これらをチェックすることで、マンションがしっかり管理されているか、また、住民の民度はどうかを判断する一助になります。
あわせて、
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- 管理人さんの勤務形態(常勤、日勤、巡回など)
- 管理費や修繕積立金の滞納がないか
- 修繕積立金がどれくらい貯まっているか
- 大規模修繕などの修繕がしっかりされてきたか
なども確認を忘れずに。
築年数が経っている中古マンションだからこそ、リノベーションをしてこれからも長く住み継げるか判断をするために確認したい大切な要素です。
物件探しとリノベーションプランニングは同じ会社が理想

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本書では、「マンション探しとリノベーションのプランニングは、できれば同時に行うべき」と書かれています。
それは、前述した通り、構造や管理規約によって理想のリノベーションが実現できないことがあるからです。
中古マンションの構造や商慣習に詳しく、リノベーション実績が豊富な会社を選ぶ。
そして物件の下見の段階からサポートしてもらうことが、リノベーション成功への第一歩。
さらに、そのようなパートナーと組めれば、物件価格とリノベーション費用のバランスを見ながらプランニングをしてくれるので、コスト面でもメリットがあるといえます。
「先に理想の物件を買ってしまったら、希望の内装が予算内で実現できないことが後から発覚(泣)」なんていういう失敗は絶対避けたいですからね。
ということで、第1回目は理想の住まいと暮らしを手に入れるためのベース(物件)をしっかり見極めるためのポイントをご紹介しました。
次回は、限られたスペースに理想を全部詰め込むために必要な「最小寸法」という考え方についてご紹介します。
Source: 日刊住まい