13坪の狭小地に建つ、地元で評判のショコラトリーの家

大阪府大阪市にある3方を囲まれた住宅密集地に建つ奥田さん夫妻の家。敷地は約13坪と狭小で、建坪わずか9坪の木造3階建てです。周囲にも似たような縦長の住宅が並んでいますが、この家だけちょっと違うのは、1階の道路側に大きなガラス窓とガラスの扉が設けられているからです。

狭さを開放的なデザインに変換

店舗外観

チョコレートとフィナンシェの店「ヴァルワール」は、ショコラティエの夫が妻とともに2014年にオープンしました。東京の有名店や大阪の大手製菓会社で腕を磨いた夫の独立を機に店舗併用住宅をつくることを目指した夫妻は、プロデュース会社「ザウス」に土地探しから相談したそうです。

夫は「店舗といってもふたりだけでやろうと決めていたので、イートインスペースもショーケースも不要で、カウンターが置ければ十分。予算的にも狭小になるので、狭小住宅が得意なところにお願いしたかった」といいます。こうして奥田さん夫妻の家づくりがスタート。木造3階建ての建物は、狭小住宅に大空間を実現する門型フレームを採用し、1階にガラス張りの開放的な店舗を実現しました。

地元で評判のショコラトリー

道行く人がふと足を止めて見てしまうガラス張りの空間は、狭小住宅の中に設けられた小さなチョコレートショップ。広さは2.5坪ほどしかありませんが、白を基調とした空間は明るく開放的で、洗練された雰囲気に包まれています。

開放感のある店内

カウンターの奥に見える螺旋階段も、軽やかさを演出。その奥は、夫がチョコレートづくりに専念するアトリエになっています。高級チョコレートショップには、重厚な雰囲気で明かりも抑えめなところが多いですが、「ヴァルワール」はコンパクトだけど開放的で、清潔感にあふれています。

カウンターから見た店内

カウンターから店内を見たところです。お客さんとの距離も近く、道行く人とも目が合うことも。店頭での接客は主に妻が担当しますが、夫がお店に立つことも。独立するまでは直接お客さんと接する機会がなかったので良い刺激を受けているそうです。厨房には何度か来店した人を忘れないように、特徴などを書き込んだメモがびっしりと貼られています。

3階建ての店舗併用住宅

間口はわずか4m弱。大きなショーケースも目立つ看板もなく、一見しただけではチョコレートショップとは分からないかも。外壁はショップカラーのネイビー。1階はチョコレートとフィナンシェをつくるアトリエと店舗で、2・3階が居住スペースです。

3階の明るいLDKで5匹の猫と暮らす

明るいLDK

螺旋階段を上ると2階には寝室とホテルライクな洗面、浴室が配されており、3階に住まいのメインとなるLDKがあります。LDKは門型フレームを生かした大空間で、その明るさに驚かされるほど。

「住宅密集地でも周囲からの視線を遮りつつ光と風を取り込むため、ギザギザのノコギリ型の屋根を採用し、南向きに高窓を複数設置しました」と、設計を担当した藤原誠司さん。白で統一した室内に、高窓からの光が降り注ぎます。

キャットステップ

明るく広々としたLDKは、同居する5匹の猫たちにとっても、居心地のいい空間。キャットステップや梁を利用したキャットウォークが設けられて、5匹の猫たちは縦横無尽に動き回り、思い思いの場所で優雅にくつろいでいました。

ダイニングテーブルを兼ねたキッチン

建築家によるオリジナルデザインのキッチンとレンジフードも印象的です。オレンジ色のモザイクタイルをアクセントに用いたキッチンはダイニングテーブルを兼ねているので、コンパクトかつ機能的。レンジフードは、猫が登れないように斜めの形状に工夫されています。

階段によって店舗と居住空間を明確に分離

「1、2階には螺旋階段を採用し、店舗に軽やかな印象を与えました。一方、プライベートな空間につながる2、3階は通常の箱階段とし、目的に合わせてエリアを明確に分離。さらに、二重、三重に扉を設けて、万一にも猫が1階に下りてしまわないように工夫しています」と藤原さん。温度と湿度管理が重要となる1階の製菓アトリエはフィックス窓にして、近隣への漏れ出る音やニオイにも配慮しています。

二重、三重に扉を設置

「妻は平日は勤めに出ているので、私は〝シェフでシュフ(主夫)〞。店舗併用住宅は仕事とプライベートが曖昧になる部分もありますが、自分でコントロールしつつ、マイペースで楽しんでいます」と夫。2階は寝室とサニタリーが配置されていますが、1階の店舗と3階のプライベートスペースとの緩衝地帯にもなっているそうです。

バス&サニタリーは、来客が使用することも想定し、ホテルライクな高級感漂う空間に。浴室は、猫のシャンプーもできるようにとゆったりとしたスペースを確保しました。

将来はカフェにする構想もあるそうで、小さな店舗併用住宅を拠点に大きな夢が広がっています。

SHOP DATA
VALOIR(ヴァルワール)
大阪府大阪市淀川区西宮原2-6-37
電話 06・6335・7640
金 12:00~18:30、土・日・祝11:00~17:00
※情報は「住まいの設計2018年5-6月号」掲載時のものです。
プロデュース・写真提供/ザウス

Source: 日刊住まい

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