「STANDARD TRADE.」の渡邊謙一郎 VS「工房イサド」の本田淳<家具づくりとどう向き合う?>

「STANDARD TRADE. 」代表の渡邊謙一郎さんと、「工房イサド」として家具や木工品を製作する本田 淳さん

ナラ材を使った端正なオーダー家具に定評のある「STANDARD TRADE.」代表の渡邊謙一郎さんと「工房イサド」として家具や木工品を製作する本田 淳さんの対談が実現。実はこの二人、二十数年前、東京・品川の職業訓練校(現・東京都立城南職業能力開発センター)でともに木工技術を学んだ同級生。渡邊さんはナラ、本田さんはさまざまな樹種の無垢材や古材を使って家具づくりをしています。

家具づくりをする者同士、いちばんアツく盛り上がったのは、やはり家具づくりのディテールについて。対談の舞台となったのは、STANDARD TRADE.山手ショップです。

作家的なスタンスで行くのか?つくり手に徹するのか?

STANDARD TRADE. 山手ショップ

自社工場を持ち、定番商品もオーダー家具も製作。ときには住宅や店舗の内装も手掛ける渡邊さん。使う材料はナラのみ。一方、本田さんはすべての工程をほぼひとりでこなし、材料はさまざまな樹種の無垢材や古材。まったく異なる形で家具づくりをしているふたりですが、悩んだり迷ったりするポイントは意外に似ているようで…。

本田:作家的なスタンスで行くのか、デザインを忠実に形にするつくり手に徹するのか、みたいなところは迷いますね。作家的な仕事は全部自分で責任を取らなければならないけど、やりがいも大きい。でも先日、製作だけの仕事をやってみて、これはこれで面白いなと。

渡邊:何がオリジナルか、みたいなことはよく考えます。そのときどきの流行を取り入れてうまくアウトプットするようなやり方もあるけど、それは違う気がして。また最近は買う人がそこまで個性的なものを求めなくなってきているように感じています。それぞれの個性がある家具が求められる土壌をなくさないようにすることも大切かなと思っています。

ショップを家具や暮らしに興味を持ってもらうきっかけの場に

STANDARD TRADE. 山手ショップの外観

駐車場だった空間をリノベーションしたSTANDARD TRADE.の山手ショップ。本田さんが訪れたのは今回が初めてです。みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩3分というアクセスの良さに驚きつつ、ショップ内で本田さんの目に留まったのが壁に掛けられた大きな絵です。

STANDARD TRADE.の山手ショップの家具

本田:謙一郎らしいよね、ロケーションも含めて。この大きな絵は波多野光さん?

渡邊:そうです。これ、僕が扱う楢(ナラ)の葉なんです。2200×3000㎜あります。大きいでしょ。

様々なジャンルの作家から額装を依頼されることも多い本田さんは、フレームについても興味津々。フレームのディテールのことや親交のある作家さんのことなど、話が尽きません。

本田:デスクもたくさん置いてあるね。

渡邊:これがあんまり売れない(笑)。ダイニングテーブルでなんでも済ます人が多いからなのかな。

本田:家具を取り巻く状況が厳しくなりつつある今、新しくお店を出すってやっばりすごいと思う。

渡邊:場所柄、外国人のお客さんにも気軽に立ち寄ってもらえるようなお店づくりを目指しました。家具や暮らしについて興味を持つきっかけになってくれればと思っています。

ディテールひとつで家具の印象は大きく変わる

STANDARD TRADE.の山手ショップのディスプレイ

ものづくりをする者同士、材料のこと、仕上げのこと、サイズのこと、収まりのこと…ディテールについての話がいちばんアツく盛り上がっていました。

小口をまっすぐではなく内側に向かってテーパー(傾斜)をつけて合わせた本棚

渡邊:たとえばこの本棚。小口をまっすぐではなく内側に向かってテーパー(傾斜)をつけて合わせています。こうすることで圧迫感がなくなり、光が回りやすくなってきれいに見える。そういう細かい部分の仕上げで家具の印象って大きく変わってくるんですよね。

本田:1ミリとか1.5ミリの差でキリッと見えたり、ダレて見えたりする。その違いを知った上で、あえてくずすのか、キッチリするのかを決めてコントロールできるっていうことがプロとして大切だと思う。

渡邊:その人がどんな技術を持っているかによって、つくれるものが違ってくる。でも、技術があってもそれを使って作品の幅を広げられるかどうかはまた別の話で、そこがまた難しいんだよね。

渡邊謙一郎さん

渡邊謙一郎さん
1972年生まれ、横浜育ち。1998年、26歳のときにSTANDARD TRADE.を設立。ナラ材を使ったオリジナル家具のデザイン、製造、販売、メンテナンス、買取までを一貫して行う。住宅や店舗の内装なども数多く手掛ける

本田 淳さん

本田 淳さん
1968年東京都生まれ。「工房イサド」として家具や木工品を製作。無垢材のテーブルや椅子から器やスプーンなどの暮らしまわりの道具、古材の額やオブジェまで幅広い

STANDARD TRADE.山手ショップのエントランス
【STANDARD TRADE.】
玉川SHOP/東京都世田谷区玉堤2-9-7/03・5758・6821 山手SHOP/神奈川県横浜市中区山手町100/045・263・6555
撮影/飯貝拓司 ※情報は「リライフプラスvol.34」取材時のものです

Source: 日刊住まい

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