木の家は高いという誤解。では、コストが上がる原因は?ウッドショックの影響は?

1000万円台の木の家

木の家は高い!よく耳にするこのフレーズ、はたして事実なのでしょうか?木材の値段が高騰しているというウッドショックの問題も気になる人は多いのでは。

こうした疑問について答えます。また、あわせて、費用の内訳や、コストを抑えるためのコツも紹介。解説するのは、一級建築士の古川泰司さん。居心地よい木の家づくりを目指している人は、ぜひ参考にしてみましょう。冒頭の写真は、古川さんの設計による1000万円台で実現した木の家です。

建築費に占める木材の割合は20%以下に過ぎない

かつて「檜普請(ひのきぶしん)」「栂普請(とがぶしん)」といえば、高級住宅の代名詞でした。関東ではヒノキ、関西ではツガ(栂)が高級な木材として知られ、事実、総檜づくりのお屋敷などはずいぶんとお金がかかったはずです。

さて、時代が下がって現代の木の家。木をふんだんに使った家は、いかにもお金がかかりそうですが、じつはそうでもありません。建築費に占める木材の割合は、一般的に全体のおよそ20%以下です。

では、なにが家の価格を押し上げているのかといえば、ズバリ、人件費と設備機器です。人件費が高いのはどの業界も同じですが、このところ増えているのが、キッチン、トイレ、照明といった設備機器にお金をかける人たちです。

ここでちょっと考えてみてください。設備機器は時代とともに古くなります。かたや、木は時間とともに味わいを増していきます。いい家とは、どちらにお金をかけた家でしょうか?

木の家にはいくらかかる?シンプルな建物なら2090万円で実現

1000万円台で建てた木の家

実際のところ、木の家はなににどれくらいお金がかかるのでしょう?30坪の家をシンプルにつくった場合の金額を概算してみました。
※東京都の場合を想定。工事価格は材料費込みの価格です

<内訳>

  • 仮設工事 90万円
  • 基礎工事 110万円
  • 骨組みの木材費 150万円
  • 下地、仕上げの木材費 220万円
  • 大工さんの手間賃 350万円
  • 屋根・外壁の工事 150万円
  • 窓の工事 100万円
  • 室内の建具工事 80万円
  • 室内の仕上げ全般 80万円
  • 電気配線の工事 50万円
  • 照明器具の工事 20万円
  • 設備配管の工事 80万円
  • 設備機器の工事 150万円
  • ガス工事 20万円

合計1,650万円

現場を管理する人の人件費250万円を含めると1,900万円。消費税190万円まで含めると、しめて…2090万円!

上記の想定は、間仕切壁もなく、極力シンプルにつくった場合の価格です。

家具、建具、間仕切壁などを増やす場合はプラス150万円。それでも30坪の木の家が2,200万円ちょっとでできる計算です。なんとか実現できそうな金額ではないでしょうか。

たかが知れている!?木のお値段

工事現場

一般に家づくりのコストは、材料費と職人さんの人件費に分けられます。この割合はおよそ半分ずつというのが現在の家づくりの標準。材料費のうち比較的多くの割合を占めるのが設備機器。木の家だからといって、必ずしも木材の価格ばかりがかさむわけではありません。

たとえば、2000万円の家(土地代除く)であれば、材料費は半分の1000万円。そのうち木材の価格は、骨組みと仕上げ材を含めても300万円程度です。材料費全体の1/3以下、全体で見れば1/7ちょっと。さらにぜいたくに木を使ったとしても400万円程度に収まります。

100万円の増額ですから、全体で見れば5%しか増えていません。「木の家は高い」と思い込んでいる人は多いようですが、使っている木の価格自体はそれほど高くはないのです。

値上がりは、ウッドショックより建設費のほうが深刻な問題

ここで少し、ウッドショックについて説明しましょう。

確かに、住宅建設費はウッドショックで高騰していくと思います。ただし、矛盾しているようですが、木材費はそれほど上がらないと考えています。最初はウッドショックの直接の影響で2割くらい上がりますが、それは落ち着くと思います。さらに上がることはないでしょう。

建設費の決定的な値上がりは、むしろ、設備機器や建材の値上がりのほうが大きく影響します。この問題の方が深刻。

設備機器と建材の値上がりは、ウッドショックというよりも世界的なコロナショックが原因。コロナショックが世界的な負のスパイラルをつくりつつある、その結果としての建設費の高騰と予測しています。

コストに大きく影響するのは設備機器

バスルーム

木材の材料費は建築費全体の2割以下が相場です。内外装に木の板を張れば大工さんの手間賃もかかりますが、代わりに、設備機器にかけるお金を抑えれば、コストを抑えながらあなたが希望する「木の家」を実現することは十分可能です。

【一般的な本体工事費の割合(木造2階建て)】

  • 40% 骨組みの工事(木材の購入費、大工さんの手間賃、基礎工事費など)
  • 35% 仕上げの工事(屋根や外壁、建具や家具、塗装などの材料費・工事費)
  • 25% 設備の工事(設備機器の購入費、取り付け工事費など)

最近は、設備の工事にかける割合が増えています

家に本当に必要か考えて!つくりつけの家具もコストアップの落とし穴に

最近は設備機器の進化が目覚しく、キッチン、トイレ、洗面、浴室などに、さまざまな機能を搭載した製品が毎年のように発表されています。

そんな機能までいらないだろうと思う「余計なお世話系」の機能が増える一方、シンプルで使いやすかった製品がいつの間にか姿を消すことも。設備機器には不可解な現象も多々見られます。

繰り返しますが、建設費の大きな部分を占めるのは設備機器です。そこはシンプルにリーズナブルなものを選ぶこと。ちなみに、つくりつけの家具も、やはりコストアップにつながるのでご注意を。そうしたことを整理できると、リーズナブルな、木の家ができます。

すてきな木の家に住みたいと思ったあなた。もう一度原点に立ち戻り、自分たちの生活はどうあるべきか、この家に本当に必要なものはなにかを、真剣に検討してみてください。木の家についてもっと詳しく知りたいという人は、『木の家に住もう。』(エクスナレッジ刊)のチェックもしてみましょう。

●教えてくれた人/古川泰司さん
1963年新潟県生まれ。武蔵野美術大学、筑波大学修士課程修了。アトリエフルカワ一級建築士事務所主宰。設計で大切にしていることは「森とつくる いっしょにつくる」。森と木を生かした「森とつながる建築」をつくり住宅医の資格を持ち、中古住宅の診断、耐震改修、断熱改修、生活改善を提案。DIYのサポートも。近著に『木の家に住もう。』(エクスナレッジ刊)がある

画像/PIXTA(上から3番目、4番目)

Source: 日刊住まい

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