「リノベ済み物件」と「自分でリノベ」 どっちがいいの?人気ブロガーちきりんさんに聞く

社会派人気ブロガーのちきりんさんは、2019年春、自宅をフルリノベした経験からリノベ本を出版。そんなちきりんさんが、秋のリノベシーズンに合わせてトークイベントを行いました。

会場となったのは、西新宿の新宿パークタワー3~7階にある「リビングデザインセンター OZONE」。5フロアにわたる広大な空間には、新築やリノベーションなどの家づくりに欠かせない設備やアイテムが豊富に揃い、様々な情報収集と体験が1か所で叶います。

今回のテーマは「リノベ済物件か、自分でリノベか」。自分らしい家に住みたいと願うならば、リノベーションを検討するのが必然ともいえますが、リノベ済物件を購入するのか、はたまた自分でリノベーションをするのか。

ここでもまた私たちは大きく悩みます。そんな悩める子羊のような私たちに贈る、ちきりんさん流のアドバイスとは……?

「リノベ済物件?自分でリノベ?」の答えの出し方

ちきりんさんリノベトークショー

「リノベ済み物件」と「自分でリノベ」、どちらがいいのか。その答えは単純で、「既製品が気に入るかどうか」だけです。

「リノベ済物件」は新築物件と同様、既製品。その物件が、自分の好みや暮らしに合致する間取り、内装、設備であれば、「リノベ済み物件」で何も問題はないのです。

「リノベ済み物件」のいい点は、購入したらすぐに入居できること。また、既製品なので、特注品である「自分でリノベ」より経済的負担も軽いでしょう。

さらに、「自分でリノベ」の場合は、中古マンションを購入後、数か月かけてリノベ工事を行うので、今住んでいる家の家賃とマンションの住宅ローンがダブルでのしかかる期間が発生しますが、「リノベ済み物件」ならその心配もありません。

キッチン

イグのマスタ / PIXTA(ピクスタ) ※写真はイメージです

ただ、そんな効率的で経済的な「リノベ済み物件」の購入を決定するには、ふたつの条件が合致する必要があります。ひとつめは、物件価格や立地、管理状態、専有面積などの物件に関する条件。ふたつめは、室内の間取りやインテリア、設備などの内装に関する条件。

ふたつがセットになっている「リノベ済み物件」は、その両方とも希望に合致していないと「買おう!」という判断ができないので、いつまでたっても住まい探しは終わらないかもしれません。

迷ったら「リノベ済み物件」を見に行こう

そこで、ちきりんさんは言います。「私はリノベ済み物件を買おう」とか「スケルトンにして自分でリノベしよう」とか最初にハッキリ決めなくても、「まずはリノベ済み物件を見に行けばいい!」と。

ですが、前述のとおり物件に関する条件と内装に関する条件のどちらも満たす物件と出会うのは、なかなか難しいかもしれません。もし何件見ても希望の「リノベ済み物件」に出会えないという人がいたら、それはきっと内装や設備についての条件が厳しいのでしょう。

スケルトン

ABC / PIXTA(ピクスタ)

そんな人は「自分でリノベ」に切り替えるのがベターです。「自分でリノベ」なら、内装や間取りは自分好みにできるので、物件条件だけ合致すれば購入に踏み切れます。

また、リノベ済み物件を購入して、一部改修するという方法もあります。大きな間取り変更や設備の入れ替えは大がかりになりますが、コンセントの位置や壁紙の変更、広い個室の分割など、「ここだけ変えれば住める」物件なら、コスト的にも手間的にも選択肢に入れる価値はありそうです。

過去に住んだ「おうち変遷」から「自分らしさ」を発見

結婚指輪

taka / PIXTA(ピクスタ)

「自分でリノベ」は楽しいけれど難しい。その難しさは、「こんな暮らしをしたい」というやや抽象的な要望や、「ここをこうしたい」という具体的な希望を、リノベ会社にしっかり伝えなければいけないところにあります。なので、まだふたり暮らしが始まったばかりの結婚後すぐのタイミングなんかは難しい。

自分たちが住みたい家や理想の暮らしが具体的に言語化できていなければ、もちろん、それらを作り上げることはできないのです。

そこで、ちきりんさんがおすすめするのは、「おうち変遷」を振り返ること。今まで住んだ家のここがよかった、ここは不便だった、などを言語化すると、自分がどういう暮らしを望んでいるのかをイメージしやすくなります。

リゾートホテル

genki / PIXTA(ピクスタ)

もし、住んだことのある家が少ない場合は、色々なホテルに泊まったり、友達の家にお邪魔したりして、経験値を意識的に増やしていきましょう。

ちきりんさんも、「おうち変遷」を振り返って、「階段の上り下りや自主的メンテナンスが必要な戸建ては絶対にいらない」「トイレと洗面は扉なしの同じ空間がいい」「暗い部屋が好き」などの自分にとっての大事なポイントを蓄積していったのだそう。

「自分らしい家を賃貸派」の人がマーケットを変える

DIY

dorry / PIXTA(ピクスタ)

ところで、「自分らしい家に住みたいけど、買いたくない(保有したくない)」という人も現代には一定数いるでしょう、とちきりんさん。35年ローンを組んで家は買いたくないし、身軽でいたい。

でもその一方で、自分のライフスタイルに合った間取りや好みの内装にしたい。「所有しない」という価値観を持つ若い世代を中心に多そうなニーズです。

最近では、DIYや間取り変更が可能な賃貸が徐々に増えてきていて、賃貸でもリノベ物件のようなオリジナリティの高い住まいを手に入れることが可能です。

DIY可能な賃貸物件は大家さんにとっても得なこと。自分好みにDIYできれば、きっとその人は長く住み続けてくれるでしょうし、そうなると、退去するごとにかかる補修費用はしばらくかからず、空室リスクも減ります。

ですが、まだまだ十分に普及していないのが現状です。それは契約が面倒だから。

DIYやリノベーションをした箇所が故障したら誰が修理負担するのか、手をかけてDIYしたのにアパート取り壊しで退去を余儀なくされる、など、様々な問題が考えられるため、契約が煩雑で大家さんに敬遠されがちなのです。

DIY

HIME&HINA / PIXTA(ピクスタ)

そこで私たちができることがひとつ。不動産会社で「リフォームやDIY可能な賃貸物件はありませんか」と聞くのです、ダメ元で。

そういう人が月に数人でも来れば、不動産会社も大家さんも「今はそういうニーズがあるのか!」と気付き、DIYはダメだとかたくなに拒否した姿勢を考え直すかもしれません。繰り返しますが、ダメ元です。

「でも、その小さな声を積み重ねることこそが、消費者である私たちがマーケットを変えるためにするべき行動なのです」とちきりんさんは教えてくれました。

ちきりんさんの話を聞くと、このテーマのようなストレートな選択肢だけでなく、「買いたいマンションにまずは賃貸で住んでみる」や「リノベ済物件を買って、自分で改修する」など、変化球的な選択肢もあることに気付くことができます。

家は大きな買い物です。

色々なことが分からず、あやふやなまま勢いで「えいや!」と買うよりは、自分の理想の暮らしをもう一度よく考えたり、家族のライフステージをイメージしたりしながら、そんな少しずらした選択肢も柔軟に検討すると、自分らしい住まいを手に入れるチャンスが増えるかもしれませんね。

みなさまが素敵な住まいに出会えますように!

最後はちきりんさんの決まり文句をお借りして。

そんじゃーね!

■ちきりん
日本を代表する社会派ブロガー。関西出身。大学卒業後、金融機関に就職。アメリカの大学院留学を経て、外資系企業に転職し、在職中にブログを書きはじめる。
退職後、2011年からは文筆家として活躍。『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。
人気ブログ「Chikirinの日記」を運営する。

徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと

完全に「顧客目線」ですべてを解説。リノベーション&リフォーム入門の決定版!

これからリノベーションをする人なら、 誰でも経験者にじっくりと相談したいはず。 その相手が、日本トップクラスのブロガーだったら…… こんなに面白くて役立つ話が聞けました!

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Source: 日刊住まい

「マンションは管理を買う」ってどういうこと?人気ブロガーちきりんさんに聞く

社会派人気ブロガーのちきりんさんは、2019年春、自宅をフルリノベした経験からリノベ本を出版。そんなちきりんさんが、秋のリノベシーズンに合わせてトークイベントを行いました。

会場となったのは、西新宿の新宿パークタワー3~7階にある「リビングデザインセンター OZONE」。5フロアにわたる広大な空間には、新築やリノベーションなどの家づくりに欠かせない設備やアイテムが豊富に揃い、様々な情報収集と体験が1か所で叶います。

今回は、買うことを決意して「いつ、どのマンションを買うか」のフェーズに入った方、必読です。

「誰が何と言おうと絶対に買いたい!」という理由があるなら、家は買うべきと話すちきりんさん。購入のタイミングをどう見極めるのか、また中古マンション購入時によく言われる「マンションは管理を買う」というフレーズについて、ちきりんさん流の考え方をご紹介します。

結局「買いどき」っていつ?

国立競技場

gandhi / PIXTA(ピクスタ)

自分が住むための家を買うのは、不動産投資ではありません。ですので、「不動産価格が上がる下がるではなく、自分の経済力との比較(だけ)が大事」とちきりんさん。

2020年の東京オリンピック後に不動産価格が下がるとか、いや変わらないといった議論もありますが、専門家でさえも今が「買いどき」かどうか、本当のところは後にならないと分かりません。

不動産や株、仮想通貨などは、誰がどれだけ勉強して予測しようが、未来は分からないのです。ですので、世の中がいう「買いどき」を探るのではなく、自分の経済状況の今と今後を理解したうえで、住宅ローンを払い続けられるかどうかを保守的に検討する方がよいのです。

では「買いどき」はいつか。

駅前

haku / PIXTA(ピクスタ) ※写真はイメージです

ちきりんさんは、「何十年もそこに住むのだから、ライフプランが固まっているかどうかが重要」と言います。この街で、この家で、この家族とどう暮らしていくのか。

実際には予期せぬハプニングなどもあるかもしれませんが、だいたいのめどが立っていれば、自分にピッタリの立地や広さ、間取りなどの判断基準が持てます。

そのうえで「ここだ!」という物件に出会えたら、世の中が騒ぐ「これから上がる下がる」の議論に関係なく、きっとそれが「買いどき」なのでしょう。

「駅までの距離を妥協」から「古さを妥協」の時代へ

ちきりんさんリノベトークショー

未来の不動産価格は誰にも分りませんが、ここで過去の不動産価格とそれにまつわる住宅購入の変化についての話を少しばかり。

まず、新築マンションの坪単価。バブル期だった1990年代と現在を比べると、首都圏ではほぼ同じくらいで坪単価350万円ほど。首都圏はバブル期と同じくらい、不動産価格が上昇してきているのです。

ここで見ていただきたいのは、最寄り駅からの距離を示した以下のグラフ。

ちきりんさんリノベトークショー

最寄り駅から徒歩10分以上の物件が、年々減少していることが分かります。バブル期は高級住宅地であれば駅から遠くても売れましたが、今はそういう時代ではありません。

共働きで忙しいため、保育園や駅までの距離が近いことが重要視され、「駅近」というのは妥協できないポイントになってきています。一方で、昔は今ほど共働きが多くなかったし、妻が夫を駅まで車で送迎するということも可能だったので、妥協できる要素だったのでしょう。

駅

Ryuji / PIXTA(ピクスタ) ※写真はイメージです

今も昔も不動産価格は同レベルに高い。昔は駅からの距離を妥協し、そしてそれができない今は築年数を妥協する。「予算内で住まいを手に入れるために、それらはとても合理的」とちきりんさんは話します。

中古マンションの販売数が上昇している近年の流れは、必然的なことといえるのでしょう。

マンション管理には2種類ある?

掲示板

SoutaBank / PIXTA(ピクスタ)

そんな中古マンションの購入が一般的になってきた現在、私たちは中古マンションを購入するときに、どんなことに気を付けたらいいのでしょう。それは、「今までどんな管理がされてきたか、そして、どんな住民が暮らしているのかを知ることだ」とちきりんさんは言います。

また、よく「マンションは管理を買う」と言われますが、「管理には2種類ある」と続けます。大規模修繕の実施の有無やごみ置き場がきれいか、修繕積立金が十分にあるのかなどは、書類を確認したり、現地に足を運んだりすればある程度分かります。

これは、「住まなくても分かる管理」。快適に暮らすためには、もちろん事前チェックが欠かせない要素です。

一方で、「住んで初めて分かる管理」もあります。それは、どんな住民が暮らしているのか、ということ。マンション全体の事はすべて理事会で多数決で決議されます。ですので、もし住民のライフスタイルやライフステージが自分と全く違う人ばかりだと、予想外の事態が起こる可能性も。

宅配ロッカー

chromatic / PIXTA(ピクスタ)

例えば、ネット通販を日常的に利用するちきりんさんなら、「もしネット通販を使うのは私だけ?というマンションに住んだら、多数決で宅配ボックスが撤去されてしまうかも」というリスクがあるでしょう。つまり、住民のニーズと自分のニーズが近ければ、マンション全体の総意として、自分が住みやすい状態が維持されやすいといえるのです。

また、住民にちょっと変わった人がいるケースもあります。その場合、総戸数が少ないと「最終的には多数決」の理事会でその人のインパクトが大きくなり、苦労することがあるかもしれません。住民の価値観だけでなく、総戸数も実は大事な要素なのです。

ちきりんさんは新築で住み始めてからの20年間、管理状態を把握し、理事会に参加してきたことで、「このマンションでこの先20年も暮らしていける」と確信し、今回のリノベを決意したのだそうです。

買いたい物件に賃貸で住んでみよう!

マンションの駐輪場

ヤシの木 / PIXTA(ピクスタ)

「でも、住んでいないのにどんな住民が暮らしているかなんて分かりません」という声が聞こえてきそう。ちきりんさんは20年住みながらそれらの理解を進めてきましたが、「2年も住めば分かる」とスッパリ。

そこでちきりんさんがおすすめする手段は、「買いたい物件を賃貸してみる」です。住んでみれば、管理組合の議事録を確認できるし、マンションの日常の風景や住民の暮らしぶりなどを実感できます。これこそが、生きた意味での管理状態というもの。

住みながらマンションの良し悪しを判断し、もし「良し」であったなら、売り物件が出たらすぐさま内見に行き、購入するかどうか即断即決するのです。

ちきりんさんの住む総戸数約100戸のマンションでは、3割以上が賃貸している住民で、年に5~8戸は転入。そして1年に1戸は売却があるそうです。総戸数が少ないマンションだとそこまで流動性はないかもしれませんが、ある程度の規模があれば、賃貸してから購入というのも意外と現実的なのかもしれません。

マンション

スイマー / PIXTA(ピクスタ) ※写真はイメージです

いつ買うかは、世の中にあふれる経済予測の声に惑わされてはいけない。どのマンションを買うかは、不動産会社からもらう書類だけでなく、自分の目で、足で、心で、そのマンションのお人柄を確認しなければいけない。

家を買うという大きな判断をするには、たくさんの要素が複雑に絡み合いますね。だからこそ、その大きな決断の根底には「絶対に買いたい!」という強い想いが欠かせないのかもしれません。

では、今回はこのあたりで、ちきりんさんの言葉をお借りしておしまいとしましょう。

そんじゃーね!

■ちきりん
日本を代表する社会派ブロガー。関西出身。大学卒業後、金融機関に就職。アメリカの大学院留学を経て、外資系企業に転職し、在職中にブログを書きはじめる。
退職後、2011年からは文筆家として活躍。『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。
人気ブログ「Chikirinの日記」を運営する。

徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと

完全に「顧客目線」ですべてを解説。リノベーション&リフォーム入門の決定版!

これからリノベーションをする人なら、 誰でも経験者にじっくりと相談したいはず。 その相手が、日本トップクラスのブロガーだったら…… こんなに面白くて役立つ話が聞けました!

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Source: 日刊住まい

「購入か賃貸か」論争は不毛!? 人気ブロガーちきりんさんの答え

ちきりんさんリノベトークショー

社会派人気ブロガーのちきりんさんは、2019年春、自宅をフルリノベした経験からリノベ本を出版。そんなちきりんさんが、秋のリノベシーズンに合わせてトークイベントを行いました。

会場となったのは、西新宿の新宿パークタワー3~7階にある「リビングデザインセンター OZONE」。5フロアにわたる広大な空間には、新築やリノベーションなどの家づくりに欠かせない設備やアイテムが豊富に揃い、様々な情報収集と体験が1か所で叶います。

今回のトークテーマは「賃貸か購入か、リノベ済物件か自分でリノベか」という、住まい探しをする時に、多くの人がぶち当たるであろうテーマ。今回はまず「購入か賃貸か」について。ちきりんさんが考える「買うべき人」や、マンションを購入するということはどういうことか、についてお伝えしましょう。

終わりなき不毛な「購入か賃貸か」の戦い

ちきりんさんリノベトークショー

新たな住まい探しのスタート地点に立つと、「購入か賃貸か」問題が自然と話題に上がってきます。そしていつの時代もそのテーマは立ち消えすることなく、私たちを悩ませます。

ちきりんさんはそんな悩める私たちに、まずひとこと。「購入か賃貸か、全員にとっての正解はない」と。

買った方がいい人、買わない方がいい人がいるのはもちろん、買った方がいいタイミングとそうでないタイミングもあります。だから、一概に「これが正解!」とは言えないのです。

でも、ネット上でこの話題が議論されると「自分の方が合理的だ!」と、正解のない戦いが始まり、終わりを見せることはありません。それはなぜか。

「買った人も買っていない人も、不安だから」とちきりんさんは言います。買ったことが正しかった、買わなくて正解だった、とそれぞれ自分の選択を正当化し、「自分の選択は間違っていなかった」と思いたいがために、戦いが勃発。

「誰が何と言おうと、買ったのは正しかった」とは、なかなか思えない私たちなのです。買っても買わなくても不安が付きまとう、それくらい家というのは大きな買い物ということなのでしょう。

「絶対に買いたい」と思える理由ある?

ペット

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

では、買う買わないの判断はどうやってすればいいのでしょうか。それは、「『絶対に買いたい!』と思える積極的な理由があるかどうかだ」とちきりんさん。

例えば、ペットを飼っているとしましょう。自分たちもペットも快適に暮らせる家というのは、賃貸ではなかなか見つかりません。

ほかにも、ピアノをいつでも弾けるよう防音設備が欲しいとか、趣味で集めたうつわを美しく壁面ディスプレイしたいとかも、賃貸では叶いにくいでしょう。そういう人は、購入して自分たちの暮らしや好みに合わせた空間を作るのがベストです。

食器

mapo / PIXTA(ピクスタ)

一方で、「買う方が得」「資産が残る」「家賃が無駄」など、購入する理由が経済的な損得のみの場合は、踏みとどまって考え直す必要があるかもしれません。

買ったら得するかは、誰にも分りません。不動産や経済のスペシャリストだって、未来を100%当てることはできないし、損した得したは後から付いてくる結果でしかありません。だから、損得を一生懸命考えて議論し続けるのは、不毛とも言えます。

世の中の経済事情や損得の話抜きに、「持ち家じゃないとダメ!」というパーソナルな理由があるのかどうか、もう一度考えてみてはいかがでしょう。

意外と高い「マンション維持費」

マンション

hap / PIXTA(ピクスタ)

「家を購入しておけば、ローンが終わった後の老後が安心」という考え方で購入を決める人もいますが、マンションの維持費は思いのほか高い。

ちきりんさんが住む築20年、総戸数約100戸のマンションの維持費(管理費+修繕積立金+固定資産税+火災保険)は、年間で約40万円。しかも、修繕積立金は築年数が経つにつれて増額されるもの。

ちきりんさんのマンションでも、この20年で修繕積立金の値上げが一度あったそうで、おそらく共益費はそのうち年間50万円くらいになるだろう、とのこと。年間50万円を月に換算すると、約4万円。

共益費はマンションの築年数や総戸数、管理体制、または家の専有面積などの要素によって決まるので、あくまでちきりん邸の数字ではありますが、どうでしょう、意外と高くありませんか?もちろん、住宅ローンが終わっていないうちは、住宅ローンにプラスしてこの金額を毎月負担することになります。

一戸建て

ABC / PIXTA(ピクスタ)

ここで、「じゃあ戸建の方が共益費なくて得だね!」という声がたいてい出てくるのですが、それは間違い。戸建だって、浴室やキッチンなどの設備、さらには外壁や屋根、配管などは経年劣化がつきもので、その点はマンションと同じ。

その修繕のために自力で計画的に貯金をしなきゃいけないのが戸建。そして、毎月決まった額を当然として支払い、住民全員で積み立てるのがマンションです。

色々と現実を突きつけてしまったかもしれませんが、だからと言って買うなというわけではもちろんありません。欲しいなら手に入れればいいし、買えるように仕事を頑張ればいいのです。

マンション購入=超長期の賃貸契約

マンション

YNS / PIXTA(ピクスタ)

ところで、「家を買う」ということはどういうことなのでしょう。ちきりんさんの定義では、「ここにずっと住む!と決めて、数十年の住居費をまとめて支払う」決断をすること。つまり、超長期的な賃貸契約を結ぶ、ということなのです。

数字を使って考えてみましょう。

家賃15万円×12か月×30年=5400万円

この式から、5400万円の家を買うというのは、家賃15万円の家に30年間住む契約と同義だと考えられます。(金利や共益費は考えないものとして計算)。つまり「毎月15万円の家賃を支払って、その家に30年間住みたいか」という問いに真摯に向き合って考える必要があるということ。

空港

charly / PIXTA(ピクスタ)

さらに、家を購入すると、会社の移転、転職、留学、災害、ストーカー、子どもの転校、海外移住など、さまざまな理由で生活の方向転換を迫られた際、その自由度が下がります。
それらを含めて考えても、「絶対買いたい!」と思える理由があるかどうか。それが“購入か賃貸か”の判断基準だと、ちきりんさんは強く言います。

ちなみに、「住まなくなったら貸せばいい」という話もよく聞きますが、自分が住まないで貸す場合は、本来は住宅ローンを一括返済する必要があります。

そのような予防線を張るような考え方ではなく、または損得勘定ではなく、「誰が何と言おうと自分にとってはこれがいい!」という明確な“家が欲しい理由”があれば、買えばいいのです。できれば、紙に書いて可視化しながら、考えてみてくださいね。

ああ、なんだか胸にグサグサささるお話が盛りだくさんでしたね。

そしてちきりんさんは、「例えば就職活動も、給料や福利厚生(だけ)がいいから(仕事内容は気に入らないけれど)ここに入ろう、とはあまりならないですよね。大事な決断は、損得勘定がメインにはならない」とも。

ねこ

あんみつ姫 / PIXTA(ピクスタ)

ちまたにあふれる「購入か賃貸か」問題は、損か得かという視点で議論されていることが多いように感じます。でも、損する得するは「住まい探し」の本来の目的ではありません。

ちきりんさんのような視点で考えてみると、自分たちにふさわしく、納得のいく選択肢を見つけられるかもしれませんね。

では、最後はちきりんさんの決まり文句をお借りして。

そんじゃーね!

■ちきりん
日本を代表する社会派ブロガー。関西出身。大学卒業後、金融機関に就職。アメリカの大学院留学を経て、外資系企業に転職し、在職中にブログを書きはじめる。
退職後、2011年からは文筆家として活躍。『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。
人気ブログ「Chikirinの日記」を運営する。

徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと

完全に「顧客目線」ですべてを解説。リノベーション&リフォーム入門の決定版!

これからリノベーションをする人なら、 誰でも経験者にじっくりと相談したいはず。 その相手が、日本トップクラスのブロガーだったら…… こんなに面白くて役立つ話が聞けました!

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Source: 日刊住まい

人気ブロガーちきりんさんに聞く。リノベを成功させる「ショールームの正しい使い方」

社会派人気ブロガーのちきりんさん。自宅をフルリノベした経験からリノベ本を出版したと聞きつけ、一番乗りで取材に伺ったのは2019年春のこと。リノベ会社の選び方やリノベで大事なこと、具体的な工事の進み方など、消費者目線かつ論理的で合理的なちきりんさん流の視点で、リノベのポイントを教えていただきました。

そんなちきりんさんが、秋のリノベシーズンに合わせてトークイベントを行うとのお知らせが!再びちきりん節が聞けるとのことで、勇み足で取材へ行ってきました。イベントは9月と10月の2回に分けての開催。まずは9月に開催されたイベントレポートを全3回にわたってお送りします。(なお、10月のトークイベントは好評につき、定員締切となっています)

リノベの強い味方、ショールームを上手に使おう!

ちきりんリノベイベント

会場となったのは、西新宿の新宿パークタワー3~7階にある「リビングデザインセンター OZONE」。5フロアにわたる広大な空間には、新築やリノベーションなどの家づくりに欠かせない設備やアイテムが豊富に揃い、様々な情報収集と体験が1か所で叶います。

ちきりんさんもリノベ前やリノベ中に何度も訪れたのだそう。しかも、1年前にリノベをして新しい住まいを満喫している現在も、幾度となく足を運んでいるとのこと。

さて、今回のイベントのテーマは、「リノベを成功させるショールームの正しい使い方」。家づくりを行う際に、どのご家族も一度は訪れるであろうショールームですが、リノベを成功させるためには「訪れるタイミング」と「正しい目的意識」が大事とちきりんさんは言います。

はて……そんな事考えたことありませんでした、という方が多そうですね。私たちはいつ、何のためにショールームに行くべきなのでしょうか。

みんな、どのタイミングでショールームに行くの?

ちきりんリノベイベント

リノベのプロセスは、上の図のような流れになります。ショールームに来ている人に「リノベのどのタイミングで来ているのか」とアンケートをしたら、きっと④の 「間取り決定後」「工事開始前」が一番多いのでは、とちきりんさんは言います。なぜなら、来ざるを得ないタイミングだから。

大枠の間取りが決まると、キッチンやユニットバスの詳細(色、パーツ、オプション等)をはじめ、壁紙の色、床材の種類、扉の取っ手などの途方もなく多くのアイテムを選択するフェーズに入ります。これらすべてをカタログのみで決めるのは難しい。

やっぱり、最終決定するためには実際に見たり触ったりして、使い心地や質感を体験したいですよね。なので、このタイミングでは多くの人が必然的にショールームに足を運ぶことになるでしょう。

初訪問が間取り決定後はなぜダメなのか

フローリング

freeangle / PIXTA(ピクスタ)

でも!ちきりんさんは「このタイミングで初めて訪れるのでは遅い」とスッパリ。

煌びやかなショールームに行って、やっぱり大きな浴槽を入れたいからバスルームを広くしたい、床材はこっちの方がいい、といった変更したい気持ちが沸いてきてしまうと、せっかく大枠が決まってきたという段階なのに、再度間取りや予算、工期の調整が発生して、時間もお金もロスします。

また、「これ絶対に欲しい!」というものに出会っても、そもそも購入した家には設置不可能な設備だったり、予算的に厳しい等の理由であきらめざるを得ないということもありえます。なので、本当に欲しいものはもっと前の段階で把握しておくべきなのです。

 「個別相談」前に理想を明確にし、言語化できるレベルに

そこでちきりんさんがおすすめするのは「個別相談前」のタイミング。リノベの第一ステップとして、「お気軽に相談しに来てください」とうたったリノベ会社のホームページを見て、個別相談に出向く人が多いかもしれません。

でも、ちきりんさんに言わせればそれは絶対にNO!自分の叶えたい暮らしや絶対に欲しい設備、予算やスケジュールのイメージなどを明確にしないまま個別相談に訪れても、リノベ会社からの質問攻めにあたふたして終わるだけです。

個別相談前にショールームをまわり、雑誌やネットで情報収集をして、リノベで叶えたいモノやコトの優先順位を言語化できるレベルにしてから望むべき、とちきりんさんはアツく語ります。

オーダーメイド

ナオ / PIXTA(ピクスタ)

「リノベは住まいのオーダーメイド。洋服をオーダーメイドする時、どんな服が欲しいのかあやふやなまま、何のリサーチもしないまま、『お気軽に』 テーラーに注文しに行ったりしませんよね?」という話には、私だけでなく会場の大勢の方が納得したことでしょう。そう、「お気軽に」個別相談に行ってはいけないのです。

リノベに成功したちきりんさんの優先順位は?

ちきりんリノベイベント

たくさんのショールームを訪れたちきりんさん。リノベを振り返ると、満足度が高いものはすべて個別相談前にショールームで見つけて採用したものだと言います。

例えば、二重窓。ショールームで、窓を1枚閉めた時と、2枚閉めた時の騒音や温度の感じ方の違いが体験できる展示があったそう。「家の中が寒いなんていうのは先進国の中で日本くらいだ!」と感じていたちきりんさんは、二重窓の性能に惚れ込み、絶対に取り入れたいものの一つとしてマーク。

念願叶って設置した二重窓のおかげで、冬も夏も冷暖房に頼り切らない快適な空間が実現できました。ちきりんさんがリノベ会社の人に聞いた話では、二重窓は客側から要望がなければ、なかなか提案することのないアイテムなのだそう。

ちきりんさん自らが見つけてリクエストしなければ、この寒暖差の少ない快適空間を手に入れることはありえなかった、ということでしょう。他にも、ミストサウナ付きのシャワーや一口ガスコンロなどは、ショールームで見つけてリクエストしたアイテムで、どちらにも大満足しているのだそう。

気を付けて! ショールームの落とし穴

システムキッチン

イグのマスタ / PIXTA(ピクスタ)

ここで、「今週末早速ショールームに行こう!」とショールーム熱に火が付いたあなたに、ちきりんさんからひとこと忠告が。「ショールームに展示されているものの7割くらいは最高級ラインの商品だから気を付けよ」。その言葉を何度もちきりんさんは繰り返していました。

どのショールームにもうっとりするほどの煌びやかな商品がずらりと並び、ついつい目と心が奪われたあなたは、最新機能を備えた高額商品を自らのスタンダードにしてしまうことでしょう。それに伴い、もちろん予算が莫大に……。

でも、すべてを諦めることはありません。大切なのはメリハリ。絶対に欲しいものや自分に価値をもたらすものは、高くても買った方がいい。そして、こだわりがない部分にはお金をかけない。それは、何でもかんでもグレードダウンするよりも、満足度が高くて賢いお金の使い方だとちきりんさんは教えてくれました。

レインシャワー

Ushico / PIXTA(ピクスタ)

さあ、ショールームには何しろ早めに行くべき、そしてテンションと物欲には気を付ける、という2点を学んだところで終了……と思いきや、ショールームに行くべきタイミングが他にもあるとちきりんさん。それはいったいいつなのか、またちきりんさんがリノベ後の今もショールームに通うのはなぜなのか……次回の記事で紐解いていきます。

では、今回もちきりんさん流の締め文句で終わりましょう。

そんじゃーね!

■ちきりん

日本を代表する社会派ブロガー。関西出身。大学卒業後、金融機関に就職。アメリカの大学院留学を経て、外資系企業に転職し、在職中にブログを書きはじめる。退職後、2011年からは文筆家として活躍。『自分のアタマで考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。人気ブログ「Chikirinの日記」を運営する。

Source: 日刊住まい