斬新すぎる “冷やしタピオカつけ麺” に挑んだら、想像を絶する味に打ちのめされた / 東京・田町「麺屋武蔵 五輪洞」

何事も決めつけてかかるのはよくない。偏見を持つことで視野が狭まり、新たな体験のチャンスを失うことにもなりかねないからだ。人生は1度きり。なるべく色眼鏡を外して、心のキャンバスを真っ白に保っておきたいものだ。

そんな風に考えていた折、「期間限定で冷やしタピオカつけ麺を始めた麺屋がある」という情報を入手した。ふぅん……絶対ヤバいだろ。昨今のタピオカブームに悪乗りしてしまったのだろうか。わんぱくすぎないだろうか。いや……偏見はよくない。なので実際に食べてみることにした。

・衝撃の一品

山手線の田町駅を降り、徒歩3分ほどでそのお店に到着した。「麺屋武蔵 五輪洞(ごりんどう)」……ド人気ラーメンチェーンの1店舗である。

「人気チェーンなら安心だ」と思いたいところだが、「タピオカつけ麺」という字面には、やすやすと安堵方向に舵(かじ)を切れない油断できなさがある。いったいどんな一品なのか。

店先には2枚の立て看板があり、「濃厚つけ麺」や「ら~麺」といった王道の品々が並ぶ一方……

もう1つの看板には、でかでかと「冷やしタピオカつけ麺」の文字と写真が載っていた。おまけに店名の由来である宮本武蔵が、タピオカの入ったスープをストローですすっているイラストまである。武蔵…… “今” を楽しんでるな。あとやっぱりそうやって飲むんだな。

イラストの武蔵は満喫しているようだが、こちらは生身の凡人だ。緊張しつつ入店し、1000円と引き換えに「タピオカつけ麺」のチケットを手に入れる。食券を買うことをあまりこんな風に言わないが、緊張のせいである。

だってタピオカつけ麺だし……」と思いながら待つこと10分。実物が目の前にやってきた。

麺にはネギダレの乗った冷製蒸し鶏やキュウリなどが盛られていて、風味付けにレモンも添えてある。見た目からして涼やかで、とても美味しそうだ。

だけどスープがだいぶタピオカミルクティー

どうしてなのか。本当にこの麺とスープを引き合わせるべきだったのか。

レンゲでスープを底の方からすくってみると、紛うことなきタピオカがおもむろに姿を現した。看板にあった通り、太いストローも差し込まれてるし……

なんなら「割りスープ用に」とアーモンドミルクも渡されたし……ミルクティー感覚でいかせる気満々だ。大丈夫なのだろうか。不安すぎる。いや……偏見はよくない。そして往生際もよくない。

思いきって麺を箸で持ち上げ、スープに漬ける。一呼吸置いてからすすってみると……

美味しい……

あれ、美味しい……。さすがにスープがタピオカミルクティーそのものということはなく、絶妙に冷やしつけ麺ナイズされているのが口にした瞬間にわかった。

鰹だしとアールグレイオイルが使われているというスープは、ほどよくミルク味を残しつつすっきりとした味わいだった。濃厚ながら舌に変にまとわりつくことがなく、口の中全体に爽やかに広がっていく。何だこれ、どうやったらこんな味が出せるんだ。

想像だにしなかった奥深いスープのコクを、つるりとした喉越しの麺がスムーズに脳へ届ける。その脳はつけ麺の見た目と味のギャップに混乱しているのだが、しかし「もっと味あわせてくれ」と手と口に命令を出すことはやめない。どんどんと風味に引きずり込まれる。

たまにタピオカをすくって食べると、麺とは異なるモチモチ感があって口の中が楽しい。タピオカにもスープの味が染みていて、つけ麺体験を彩ることはあっても邪魔はしてこない。

不思議だ……不思議でいて、実に完成されている。注文の段階で麺量を並・中・大から選べ、及び腰が極まっていた筆者は反射的に並サイズを選んでしまったのだが、これなら中サイズ以上もいけたかもしれない。

するすると麺を食べ終わったあと、割りスープと称されたアーモンドミルクをスープに投入し、飲んでみる。もはや不安など欠片もなかった。ミルク感が濃厚になり、いよいよそれっぽさが増してくるも、つけ麺の延長線上で楽しむことができた。

というか……美味しい……。全部美味しい……。むやみに疑ってしまって申し訳なかった……。

・満足と教訓

そんなわけで、“狂いしメニュー” に思われた「冷やしタピオカつけ麺」は、決して悪ふざけの産物などではなく、むしろ計算され尽くされた味わいでこちらを打ちのめす一品だった。お店の思惑通りに満喫してしまった。まさかあの武蔵が未来の自分だったとは。

とにかくさっぱりした美味しいつけ麺だったので、夏の季節にはぜひともおすすめしたいところだ。7月末までの期間限定かつ、1日の提供数も限られている点には気を付けてほしい。繰り返しになるが、やっぱり偏見はよくない。

・今回紹介した店舗の情報

店名 麺屋武蔵 五輪洞
住所 東京都港区芝5-29-1
営業時間 11:00~15:00 17:00~22:00
定休日 定休日

参照元:Facebook @menya634
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.


Source: ロケットニュース24

つけ麺屋なのにクレープ店を併設する『小麦と肉 桃の木』は、なぜクレープを売るようになったのか? その理由

どんな業種であれ、長くお店を続けていくのは大変なことだ。とくに飲食店となると、5年10年と看板を守り続けていくのには覚悟と努力を要する。東京・新宿御苑の『小麦と肉 桃の木』は2017年に惜しまれながら閉店した。

2019年2月、同じ場所に同じ名前で復活を遂げ、さらにクレープのお店を併設するに至っている。一体なぜ、つけ麺屋なのにクレープを売るようになったのか。そのいきさつを店主に尋ねた。

・なぜクレープを?

実はこのお店については、2011年に紹介している。2009年にオープンし2017年に閉店するまでの間に、ラーメン店グループの「せたが屋」が運営を行っていた。現オーナーの矢野さんは、このお店で2代目店主を務めていた。

会社の異動などでお店を離れ、退社後の2016年からは移動販売のクレープ店を始めた。クレープ店が軌道に乗り始めた頃に、お店の買取の話が持ち上がったため、つけ麺専門店でありながらクレープを販売するという、ちょっと変わった二毛作スタイルをとるに至ったそうだ。

「クレープの移動販売をやり始めた頃は、1枚も売れない日もあったんですよ。それが売上の見込みが立つようになって、今では常連さんもいらっしゃって、続けて行きたかったんですよね。(お店に)戻って来ないかって話があった時に、会社に戻る気はあまりなかったんですけど、『桃の木』そのものがなくすのは惜しいと思ったので、買取のお話を頂いた時にやることを決めました」

彼女はそう話す。その思いを形にするために『桃の木』としての復活を遂げ、物置と休憩所だった場所を改装してクレープとレモネードのお店『たつろうカフェ』を併設した。桃の木の営業時間が11~14時。片づけをする一方で15~18時の間、たつろうカフェの営業を行っている

クレープメニューはレギュラーが約30種。そのほかに季節の限定メニューも用意している。

・やりたい形で

つけ麺 + クレープ、かなり変わった組み合わせ。しかもそれぞれ営業時間に限りもある。逆にやりづらくないのだろうか? どちらかひとつに専念した方が良いのでは? 余計なおせっかいながら、そう尋ねてみると、彼女はこう言う。

「私、いろんなところに行きたいんですよ。ジッとしていられないんですよね(笑)、だから移動販売を始めたんですよ。好きなんです。桃の木の営業時間は短いですけど、3時間前から仕込みをしてるんですよね。長く続けたいんです、このお店。今以上に(営業時間を)長くしてイヤになったら終わりじゃないですか。だから、こういう形になりました」

たしかに、自分のやりやすい形で続けることが、結局長く続く秘訣に違いない。移動販売で行きたい場所へ。そして、短時間営業でも、お客さんに満足頂くこと。この両立が彼女にとってのベストのようだ。

・意外と少ない

この日、私(佐藤)はチョコバナナクレープ(430円)とレモネード(400円)を注文した。

そう言えば、クレープを食べるのはいつぶりだろうか? 少なくとも原宿に行かない限り、私はクレープを食べる機会がない。「クレープのお店って意外と少ないんですよね」と矢野さん。お客さんからもそういう声をよく聞くそうだ。最寄りのスーパーに移動販売のクレープ店を見つけたら、やっぱりうれしいかも。

クレープを頬張りつつ、自家製シロップのレモネードを飲むと、その爽やかな飲み心地に癒される。とくにこれからの季節は、喉の渇きを潤すのに持って来いだ。優しい酸味と深い甘味で、暑さによる疲れが和らぎそうである。

・彼女の人柄

何より私がオススメしたいのが、彼女の人柄だ。何事にも明るく前向きに取り組む彼女の姿勢は、話しているだけでこちらまで明るく前向きな気持ちにさせてくれる。私のようなへそ曲がりな人間は、何かあるとすぐに苛立ったり、諦めたりしてしまうのだが、彼女と話していると何だか自分が小さいことに悩んでいる気さえしてくるから不思議だ。

お店に行き彼女と話していると、どんな形であったとしても、自分のやりたいようにやってみるべきなんだ。そう、思えてくる。

・今回紹介した店舗の情報

店名 小麦と肉 桃の木、たつろうカフェ
住所 東京都新宿区新宿1丁目32−4 エヌエスビル 1F
営業時間 11:00~14:00(桃の木)、15:00~18:00
定休日 水曜・日曜日

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24


Source: ロケットニュース24