水害、地震…災害から身を守るために日ごろから備えておきたいこと6つ

世界的な異常気象の影響などで、日本でも毎年大雨による被害が起きています。先日、日本を襲った台風15号および19号は、関東地方を中心に甚大な被害を及ぼし、現在も復旧作業が進められています。

いつ襲ってくるか分からない災害から自分や家族の身を守るには、どうしたらよいのでしょうか。

日本能率協会マネジメントセンターの『地震・水害・火災から守る 緊急防災ハンドブック』(以下、『緊急防災ハンドブック』)から、日ごろからできる災害対策についてご紹介しましょう。

1.ハザードマップを確認する

パソコン

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

ハザードマップは、自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図化したものです。河川浸水や土砂災害、地震、津波などの災害別に作成され、各市町村のホームページなどに掲載されています。

『緊急防災ハンドブック』では、「自分の住む地域にどのような危険があるのか、いざというときに迅速に避難するために必ずハザードマップを確認しておきましょう」とハザードマップの重要性を唱えています。

筆者も自分の住んでいる市のハザードマップを確認しておこうと検索したところ、国土交通省によるハザードマップポータルサイトが使いやすいと感じました。

ハザードマップポータルサイト

サイト内の「重ねるハザードマップ」を使えば複数の災害のハザードマップを一度に表示できるので、どの災害時でも比較的安全な避難経路を検討することが可能です。

また、住所による検索ができるので、自宅だけでなく勤務先や学校、親せきの家など、複数の場所のハザードマップを確認したい場合にも便利です。それぞれの市町村のホームページを探す手間が省けます。

2.「警戒レベル」を正しく知る

河川の氾濫

haku / PIXTA(ピクスタ)

先日の台風19号の際には、各市町村から避難情報が発令されました。
避難情報は、2019年6月から5段階の「警戒レベル」を用いて発令されるようになりましたが、実際にはどの段階で避難したらよいか迷った方も多いでしょう。

『緊急防災ハンドブック』では、「警戒レベル4で避難とされていますが、高齢者や小さい子どもがいるご家庭は警戒レベル3での避難が推奨されています」と、避難の目安を記載しています。
警戒レベルの内容については気象庁のサイト「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」に掲載されているので、一度目を通しておくとよいでしょう。

3.家族で災害時のルールを決めておく

避難所地図

EKAKI / PIXTA(ピクスタ)

「災害は家族と一緒のときに起こるとは限りません。いざというときに安否を確認するため、災害時の家族のルールを決めておきましょう」とありますが、現実にはつい先延ばしにしてしまいがち。

被災したときの連絡方法や、避難先、家を離れるときのメモを貼る場所など、家族内であらかじめ決めておくべき事柄はたくさんあります。

連絡方法としては、電話連絡ではなく、NTTが提供する伝言サービス「災害用伝言ダイアル」(171)、携帯電話会社が提供する文字を使った安否情報確認サービス「災害用伝言版」のほか、SNSなどを使うようにしましょう。

「災害用伝言ダイアル」と「災害用伝言版」は、毎月1日と15日に体験日が設けられているので、このサービスを使う予定であれば、家族みんなで練習しておきましょう。

4.非常用持ち出し袋を用意する

アイマスクと耳栓

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災害によって自宅で安全に過ごせなくなった場合には、避難所を利用します。非常用持ち出し袋には、避難所で過ごすために必要となるものを入れて用意しておきます。

『緊急防災ハンドブック』では、あると便利な20アイテムが紹介されています。テレビやさまざまなWebサイトなどでも、持ち出し袋の中に用意しておくべきものが挙げられていますね。

20アイテムのなかでも筆者がなるほどと思ったのが、「アイマスク」と「耳栓」です。避難所では明かりを落とさないそうなので、安眠のためにはあるとよいですね。

また、「はぐれた家族を探すときに家族写真を持っていると便利」というのも、参考になります。

5.非常備蓄品を日ごろの食事サイクルに加える

水

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台風15号での被害を目の当たりにしたこともあって、19号が来る前日には在宅避難時の備蓄品として、水やカップラーメンなどを買い求める人が多かったように思います。
いざというときに買いそびれたり、慌てて大量購入したりすることのないように、日常備蓄の習慣をつけておくと安心です。

『緊急防災ハンドブック』で紹介されている日常備蓄は、「①少し多めに買う→②普段の生活で消費→③減った分を買う、以降、②と③の繰り返し」というサイクルで、常に一定量を備蓄するようにします。

筆者宅ではウォーターサーバーを利用しているため、自動的に水を備蓄していることになります。宅配してもらえるので、買いに行く手間も省けて便利です。

6.家の中の家具を見直す

家具の固定

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地震の際に、倒れてきた家具や家電の下敷きにならないように、あらかじめ対策をしておくことも大切です。

『緊急防災ハンドブック』では、さまざまな家具の対策が紹介されています。たとえば、「避難口となるドアや地震が起きた時に身を隠すテーブルなどの近くには、本棚や食器棚、タンスなどの背の高い家具を置かない」「背の高い家具は、突っ張り棒やL字金具などで固定する」「食器棚には揺れた際に扉がロックされる器具を取り付けておく」「テレビや花瓶は粘着ゲルシートで固定しておく」などの転倒防止対策を推奨しています。

いまや日本のどこでどんな災害が起こるかわかりません。『地震・水害・火災から守る 緊急防災ハンドブック』を読むと、防災意識が高まり、日ごろから備えておくことの大切さがよく分かります。
いざという時に適切な行動がとれるよう、定期的に読み返したい一冊です。

【参考】

『地震・水害・火災から守る 緊急防災ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)
※ 国土交通省「ハザードマップポータルサイト
※ 気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について

Source: 日刊住まい

土砂災害警戒区域に指定されると建築制限を受けるの?

ここ数年、日本各地で大雨等による土砂災害などの甚大な自然災害が発生しています。

国は、国民の生命と身体を守るため2000年5月に土砂災害防止法を制定し、2001年4月に施行しました。土砂災害防止法は、土砂災害の恐れがある区域を明らかにして警戒避難体制の整備、一定の開発行為の制限等を推進するものです。

この法律によって指定される「土砂災害警戒区域」と「土砂災害特別警戒区域」では、建築の制限等に大きな違いがあるといいます。
例えば自分の住む地域が「土砂災害警戒区域」に指定された場合、建築制限は受けるのでしょうか? 宅地建物取引士の高幡和也さんに教えてもらいました。

土砂災害警戒区域とは?

落石防止工事

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土砂災害防止法(正式名称「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」)は1999年6月の広島市、呉市等における大規模土砂災害を契機として制定されたものです。

国土交通省によると土砂災害警戒区域とは、「急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民等の生命又は身体に危害が生じるおそれがあると認められる区域」としています。

この区域に指定されると当該市町村によって危険の周知、警戒避難体制の整備が行われます。

具体的には、各市町村の地域防災計画において、警戒区域ごとに警戒避難体制(情報の収集・伝達、予警報の発令及び伝達、避難、救助等)に関する事項や、災害時要援護者(高齢者等で自力避難が困難な方)の円滑な警戒避難を実施するため土砂災害に関する情報等の伝達方法を定めます。
このほか、土砂災害ハザードマップによって周知の徹底をすることになります。

土地の説明

Mills / PIXTA(ピクスタ)

また、警戒区域内の土地や建物の売買等を行う場合、宅地建物取引業者はその土地建物が警戒区域内である旨について重要事項の説明を行うことが義務付けられています。

このように土砂災害警戒区域については、危険の周知や避難体制の整備などに一定の義務が生じますが、「建築の制限や開発行為についての制限」は設けられていません。

例えば、自宅等が土砂災害警戒区域の指定を受けても、その他の関係法令を順守すれば、区域内での建築工事や開発行為(宅地造成など)、土地建物の売買等について土砂災害防止法による制限は受けません。

土砂災害特別警戒区域とは?

土砂崩れ

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国土交通省によると土砂災害特別警戒区域とは、「急傾斜の崩壊に伴う土石等の移動等により建築物に作用する力の大きさが、通常の建築物が土石等の移動に対して住民の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれのある崩壊を生ずることなく耐えることのできる力を上回る区域」としています。

土砂災害特別警戒区域内では、土砂災害警戒区域で行わなければならないことに加え、住宅・宅地分譲や社会福祉施設、幼稚園、病院等の特に防災上の配慮を要する者が利用する施設を建築するための開発行為(特定開発行為)は、都道府県知事の許可が必要となります。

また、土砂災害発生時の土石等の移動・堆積の力に耐えられるよう、居室を有する建築物の構造が規制されます。
実際に急傾斜地の崩壊等が発生した場合は、都道府県知事はその住民(建築物の所有者など)に対して、特別警戒区域から安全な区域に移転する等の土砂災害の防止・軽減のための措置について勧告することができます。

これ以外にも、宅地建物取引業者には特別警戒区域内の宅地や建物の売買等を行う場合、特定の開発の許可について重要事項説明を行うことなどが義務付けられています。

土地開発

スイマー / PIXTA(ピクスタ)

このように土砂災害特別警戒区域では、建築工事や特定の開発行為については一定の「制限」を受けることになります。

一方、特別警戒区域内の施設設備に対する防災工事や区域外への移転等に対しては、独立行政法人住宅金融支援機構の融資を受けられたりする等の支援制度もあります。

土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域との大きな差は、それぞれの区域内における行為制限(建築や開発)の有無と、支援制度の有無にあります。

いずれも住民の生命と身体の安全を守るためのもの

説明会

Graphs / PIXTA(ピクスタ)

土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に指定される場合、これらを指定する都道府県は、当該市町村長の意見を聞いたり、関係住民には説明会などを開催して伝えます。
ただし、両区域の範囲については、法で定める地形上の基準により客観的に定まるものですので、関係住民の意見等により区域を変更することはありません。

両区域に指定された場合の地価下落の懸念や、その指定基準の要件(がけの傾斜30度以上や高さ5m以上、渓流の勾配等、その他)についてはいろいろな意見がありますが、いずれの区域指定も住民の生命と身体の安全を守るための対策です。
現在の居住地付近がいずれかの区域に指定された場合は、その目的と内容をしっかり理解し、減災に役立てましょう。

また、これらの区域に指定されなかった場所なら、絶対に土砂災害が起こらないという保証はどこにもありません。

いつ起こるか分からない土砂災害から自らの身を守るためには、都道府県や市町村が提供している各種ハザードマップや、居住地付近の地形特性などを日頃から十分に認知して、万が一に備えることが大切です。

【参考】
※ 国土交通省「土砂災害防止法の概要
※ 国土交通省「全国における土砂災害警戒区域等の指定状況
※ 神奈川県土砂災害情報ポータル「よくある質問

Source: 日刊住まい