パントリーを諦めない!小さいキッチンもOK、間取り別にぴったりの3タイプを紹介

引き出し式パントリー

コロナの影響で在宅時間が増加。家族みんなでキッチンを使う機会が増えています。
テレワークや自宅学習の合間に食事の準備やあと片づけ…。そうした作業をやりやすくするなら、クローズタイプより、リビングやダイニングと連続するオープンなキッチンが向いています。でも、オープンともなると、片づけに気を使いそうという心配も。
「不安を解消するためにも、パントリーを設置することをおすすめしますよ」
そう語るのは、建築家の新井崇文さん。自身が設計した事例から、機能的なパントリーをタイプ別に紹介してくれました。引き出し式のパントリーも登場しますよ!

「キッチン隣接タイプ」は大容量が確保できるパントリー

パントリーの入り口が見えるキッチン

パントリーとは食料品や調理器具・什器等をストックする収納スペースのこと。このパントリーの形と収納量が住まい手の生活にあっていると、台所仕事の効率はぐっとアップします。そのとき使うものだけをキッチンへ持ち出して調理作業を。終わったらまたパントリーへしまえ込めばいいので、コンパクトなキッチンでも、スッキリと片づきます。

キッチンからパントリーを見る

パントリーのあり方はおもに2つあります。
ひとつは「キッチンに隣接して小部屋を設ける」タイプ。収納量を多く確保しやすいため、家族の所持品や食材ストック量が多い場合にも適しています。このお家ではキッチンの奥に2畳サイズのパントリーがあります。

IKEAの収納棚

パントリーの左側は壁一面の収納棚。ここは一般的な1間(壁芯で約180cm)幅のスペースです。市販のIKEA製の収納棚がピッタリはまり、ローコストで大容量の収納棚が実現できました。

造りつけの収納棚

パントリー右側は小幅の収納棚。こちらはテレワークなどに活用するワークスペースに通り抜ける通路を兼ねていることから、収納棚の幅は約60cmとなりました。市販でちょうどサイズの棚が見つからなかったので、大工工事で造りつけの可動棚を設置。
パントリーの奥には勝手口扉があり、ゴミ出しなどにも重宝します。

ワークスペースの様子

パントリーの奥から見返すと、右にキッチン、左にワークスペースが見えます。
一般的には、パントリーが行き止まりとなる間取りが多いでしょう。でも、この例のように、回遊動線の一部になったパントリーは、アクセスしやすいうえに、使いやすくもなります。

「キッチンの一部分に設置するタイプ」は、間取りに柔軟に対応可

冷蔵庫奥にパントリーがあるキッチン

もうひとつのパントリーのあり方は「キッチンの一部分に設置する」タイプです。この例では、キッチン奥側の見えない位置(冷蔵庫の向い側)にパントリー棚が設けられています。

一間のパントリー棚

パントリー棚は1間(壁芯で約180cm)幅。奥行は浅めの30cmとし、オープン棚にして収納物がひと目でわかるように。使いやすさを優先しました。パントリー棚はダイニングから直接見えないので、たとえ雑然としていても気になりません。

見えないパントリー

こちらの例では、キッチンの一部にパントリーを設けていますが、ダイニングからは見えない位置に設けています。

ちらりと見えるパントリー入り口

キッチンの手前側にはシンク・コンロ台があり、奥側には冷蔵庫と造り付けのカップボード収納があります。カップボードのカウンターがそのまま左側に伸びていって、ワークスペースのデスクに連続しています。

ワークスペース先にあるパントリー

このワークスペースのデスクの背面にパントリー棚(ロールスクリーンで仕切られている部分)があります。
使用時はロールスクリーンを上げっぱなしにしていても、ダイニングからは直接見えないのでスッキリ。

「ワゴンタイプ」のパントリーはスペースが限られている場合の奥の手

見えないパントリーのあるキッチン

改修などで間取りの制約があり、パントリーを確保するのが難しい場合もあります。
このお家は、個室型キッチンからLDK一体型キッチンに間取り改修したケースです。

コンパクトなキッチンの全体像

ダイニングと一体の開放感あるキッチンが実現できましたが、既存のお家の形状の制約から、パントリーの確保が難しい状況でした。

目をつけたわずかなスペース

そこで目をつけたのが、コンロの裏側に生じたわずか1尺半(約45cm)幅のスペース。ここにジャスト寸法で設計したパントリーワゴンを大工さんにつくってもらいました。

ワゴンをしまっているところ

コンロの奥、勝手口扉の右側にワゴンの引手(縦型のバー)が見えます。上部はオープン棚を2段設けています。ワゴンのサイズが大きくなりすぎると重量が増え、ワゴンの出し入れがしづらくなるからです。

ワゴンを引き出したところ

ワゴンを引き出すと、5段の収納が現れます。幅が狭く、奥行きの深い収納スペースですが、このようにワゴンにして引き出すと横から出し入れすることができ、収納物も一目瞭然。使いやすいパントリーができます。

ワゴンに設けられた落とし物防止のバー

パントリーワゴンには各段にバーを設け、収納物が振り落とされないよう配慮しています。

ワゴン収納内のアップ

こまごまとしたものは直接パントリーワゴンに載せるのではなく、半透明のボックスにまとめてから載せるようにしています。
このパントリーワゴンは、「使いやすいです!」と住人にも大好評。収納にひと工夫あると、暮らしも家事もちょっと楽しくなるものですね。

●教えてくれた人/新井崇文さん
「新井アトリエ一級建築士事務所」主宰。横浜市在住。植栽を大切に外部から内部までトータルで考える心地よい空間デザイン、暮らしやすさに配慮した収納計画や造作家具、健康で快適な自然素材を大切にした住宅の設計を手がけている

Source: 日刊住まい

これからの住まいに「室内物干し、パントリー、玄関土間収納」が大事なワケ

外観のイメージ
この一年で大きく変わった暮らし方。コロナウイルスの流行で誰もが生活の仕方、仕事の仕方、人とのかかわり方など大きな影響を受けています。

「家の間取りを考える上でも、これまで以上に必要性が高まりつつある3つのスペースがあります」と話すのは、住宅を専門としている一級建築士の入部亜佐子さん。その3つとは、「室内のランドリースペース」「パントリー」「玄関土間の収納」だそう。理由を詳しく解説してもらいます。

その1:室内のランドリースペースで安心、快適に家事をする

ランドリースペース

共働き、花粉症、洗濯の時間、プライバシーなどさまざまな生活スタイルから、バルコニーではなく室内干しのニーズが急上昇しています。 衣類乾燥機や換気暖房設備搭載の小部屋を利用したり、2階の日当たりの良い一角に設けたり。人目を気にせず好きな時間に干せて、帰りが遅くなっても雨が降っても、慌ててしまう必要のないランドリースペースはとても便利です。

そのランドリースペース、どこに配置するかで使い勝手が変わってきます。

クロゼットの近くに設ける

図面:ファミリークロゼットや寝室のウォークインクロゼットの近くにランドリーコーナー
ファミリークロゼットや寝室のウォークインクロゼットの近くにランドリーコーナーを設けた例。

洗濯時には時間に余裕があるけど、しまうタイミングには疲れてしまっていてなかなかしんどい、という生活をしている人向けのプランです。とにかく、しまう場所の近くだと片付けるのもラクです。

洗濯機のそばに設ける

図面:洗面室の隣にランドリールーム

洗濯機を置いたランドリールームの隣に洗面脱衣室を設けた例。

こちらは干すのがラクなプランに。洗濯物は干す前が水を含んで一番重いので、その持ち運びの距離が短いほうがトータルの労力は少なくなります。

朝の忙しい時間に、慌てて洗濯をするご家庭にはこちらのほうが向いています。洗面スペースにも近く、身支度を整えながら洗濯終わりを待てるので、時間に無駄がなく便利です。

ランドリースペースとウォークインクロゼットを近くに配置

図面:脱衣・ランドリースペース・ウォークインクロゼットを近くに

脱衣室兼ランドリーとウォークインクロゼットを一直線に配置したプラン。

こちらは、洗う、干す、しまうといった洗濯作業が1か所ですみ、洗濯動線という面から考えると理想的な間取りです。 ハンガーに干してそのままクロゼットにしまうスタイルだと、さらにたたむ手間もなく、洗濯ストレスから解放されます。

その2:備蓄可能なパントリーで、災害や自粛生活に備える

パントリー

大物キッチン家電や、食品、飲料、鍋などの収納はもちろん、家事スペースを兼ねるなど、キッチンそばにあると便利で片付くパントリー。 ポストに入っていたDMの一時保管場所に、あるいは、災害や自粛生活に備えるための備蓄品のスペースとしてなど、多様に使うことができます。

保存のきく食材をある程度確保しておくことで、緊急事態宣言やリモートワークで外に出られない時も安心して過ごせます。 長期で保管するなら、直射日光のあたらない北側に設置するのがおすすめです。

図面:キッチン脇のパントリー収納

こちらは、キッチンの横にパントリーとして使える収納をつくった例。

このように広いスペースが取れず、ウォークインにできなくても、小さなスペースを天井まで有効活用することでかなりのストックができるので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょう。

その3:玄関の土間収納があれば趣味も充実

土間収納

もともと靴やベビーカーなどをしまう場所として人気があった土間収納。コロナによる自粛生活が求められる今、自宅BBQやソロキャンプなど、個人で楽しめる趣味を持たれる方も増えてきました。テントやグリル、炭やクーラーボックスなどしまいたいものも増加傾向です。

広びろ土間スペース

そして帰ってきた時のコートかけ、アルコールスプレーの置き場とマスクを捨てるコーナー、さらに小さくてもいいので、石鹸で手洗いができるスペースがあるととても便利です。

図面:土間収納、パントリー

玄関に土間収納を配置し、コートかけや手洗いコーナーもつくった例。

家族と安心して接するために、玄関近くで除菌ができる仕組みは、これからの家づくりには必要不可欠になってくるでしょう。

また、防災面においても、パントリーに置く非常用持ち出し袋を土間収納にもセットしておくと、ものの散乱などでどちらかにアクセスできない状況になった場合にも安心です。 1階平面図

今回の記事で紹介したランドリースペースとパントリー、土間収納の3つのスペースを確保した間取りの一例です。暮らしやすい動線と、ウイルスや災害に備えられる工夫が取り込まれています。新しい生活様式へ備えた家づくりの参考にしてみてください。

●教えてくれた人/入部亜佐子さん
一級建築士。「暮らし×デザイン×性能」を考えた家づくりを得意とする。大学を卒業後、ゼネコンや設計事務所で設計を担当。子育て期間に5年ほど過ごしたイギリスでの生活が転機になり帰国後住宅専門の建築士に。2011年から住宅会社・ゼスト倉敷で100件以上の新築、ノベーションを担当。2021年2月に立ち上げた住宅の設計やデザインを手掛ける会社「ブルック」の創設メンバー

Source: 日刊住まい

理想的なパントリーの間取り。位置や広さ、つくれない場合も解説

食器棚の一部をパントリーのように多目的に使える収納スペースに

パントリーがあると、キッチンの使い勝手がぐっと良くなります。
「それほど広いスペースでなくても、ある程度フレキシブルに、キッチンまわりのいろいろなモノがしまえる場所があるといいですよ」
そうアドバイスするのは、たくさんのオーダーキッチンを手掛けてきた家具工房「フリーハンドイマイ」の代表・今井大輔さん。パントリーをつくることのメリットや、どんなふうにつくればよいか、詳しく教えてもらいました。

「とりあえず置いておける場所」があると暮らしやすくなる

決まったモノを決められた場所にしまう収納も大切ですが、「とりあえずどんなモノでも置きやすい場所」があることで、暮らしやすさは格段に良くなります。

お客様のお宅でときどき見かけるのが、収納家具をつくったのに、モノがしまいきれていない状況。具体的には、ミネラルウォーターのペットボトルや缶ビール、お米など、飲み物や食品のストック、キッチンペーパーなど日用品のストックです。

買い置きするモノって、運びやすいように取っ手がついていることが多いですよね。取っ手が付いているとつい、ちょっとだけここに置いておこう、となり、いつの間にかそこが定位置になってしまいがちです。

さらにその上にも細かなモノが載ってしまって、下のモノが取り出しづらくなる、という悪循環になってしまうことも。

モノの場所をきっちり決めて収納することも大切ですが、とくにこうした消耗品などは、一時的にラフに置いておけるパントリーのようなスペースがあると助かるのではないかと思うのです。

パントリーの位置は玄関とキッチンの間、ややキッチン寄りが理想的

キッチンの背面にパントリーを設けたお宅

ではそのパントリーは、どんなスペースだと使いやすいのでしょうか。

今まで私がお客様に提案したパントリーは、半畳~2畳くらいの広さが多く、調理道具や食器以外の、あまり頻繁に出し入れしないモノをしまうことを目的にしています。

ですので、パントリーを設けるのに理想的なのは、玄関とキッチンの間で、ややキッチン寄りの位置、なのではないかと思っています。

例えば買い物から帰ってきたとき、すぐに使うモノは冷蔵庫に、ストックするモノはパントリーにしまいます。「玄関→パントリー→キッチン」という動線があれば、最小限の移動で済むので、時短にもつながります。

私が今まで家具をつくらせていただいたお客様の中で、モノがしまいきれていないように見えたお宅には、やはりパントリーと呼べるような場所がありませんでした。

パントリーと呼べるスペースを取りづらい場合でも、広くなくていいので、パントリーの代わりになるような収納場所を確保しておくと、自然とスムーズな動線が生まれて、部屋の整理整頓も進みます。

パントリー代わりのスペース、でもOK

ちなみに、私の家にもパントリーと呼べるスペースを設けませんでした。パントリーというスペースをつくってしまうと、居住スペースがかなり狭くなってしまうからです。

今井さん宅のキッチン

そこで、広めに取っていた玄関の収納スペースの一部と、食器棚の一部(写真の吊り戸棚の左側)に、パントリーのように多目的に使える収納を設けて、その2か所をパントリー代わりにしています。

パントリーのように多目的に使える収納

食器棚の一部には乾物、お菓子、比較的すぐ補充するお酒(笑)、かさばる密閉容器類、お重などの季節の器、お菓子づくりの道具、ときどきしか使わないオーブンの天板などがしまわれています。

また、直射日光を避けられる玄関の収納スペースの一部には、根菜や果物、ペットボトルの水、資源ゴミなどを置いています。そのおかげで、キッチンにモノがあふれず、使いやすい状態を保つことができています。

パントリーの中は「見渡せる」ことが大切

キッチンの奥にパントリーを設けたお宅

また、キッチンの奥にパントリーを設ける場合もあります。

その場合は、食材やふだん使わない道具などを置くほか、レンジやトースターなどの調理家電、場合によっては冷蔵庫を置くスペースを設けることもあります。そうすることで、キッチン周りを広く取れるので、料理に集中しやすくなります。

家族みんなで料理することが多いお宅の場合は、キッチンからパントリーを抜けてダイニングにアクセスできるようにするなど、回遊性のある間取りにするとより使いやすくなります。

可動式の棚がたくさん並んでいるキッチン

パントリーの中は、そのスペースに入ったら、もしくは扉を開けたら見渡せるようになっていることが大切です。要するに、可動式の棚がたくさん並んでいるだけのシンプルな形がいちばんフレキシブルに使えると思います。

どんなモノをしまうかあれこれ悩むことなく、「とりあえずどんなモノでも見やすく置いておける」パントリー的なスペースが少しでもあると、モノの管理、整理がしやすく、来客時にも慌てずに済みます。

家をつくるときやリフォームの際にこういうスペースを設けておくと、スペースにも心にもちょっとゆとりができて、毎日の暮らしがラクになるのではないかと思います。

●教えてくれた人/今井大輔さん
暮らしに寄り添うオーダーキッチンやオーダー家具を手掛ける家具工房「フリーハンドイマイ」代表。神奈川県高座郡に工房とショールームがある

Source: 日刊住まい