マンションの修繕積立金、健全な設定は2割!? 確認すべき情報を解説

マンションを購入すると住宅ローンのほかに、管理費と修繕積立金の支払いが発生します。

「毎月の支出を抑えるために、管理費と修繕積立金の支払いが少ない物件を選ぼうとする人がいますが、それは危険です」と話すのは、不動産コンサルタントとして長年働いた経験を持つ眞鍋豊洋さん。とくに適正価格がわかりにくい修繕積立金について詳しくお話を聞きました。

1. 定期的なメンテナンスがマンションの寿命を延ばし、価値を高める

工事

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当然ですがマンションも一戸建て住宅同様、年を追うごとに劣化します。タイミングよく適切な補修や修繕、設備の交換などが必要です。しかし、一戸建てと異なり、多くの世帯が1つの建物に住んでいるため、自分の都合で改修するのは不可能ですし、修繕費用は多額になります。

そこで、快適な住環境を守るために「長期修繕計画」を作成し、その計画に基づき、修理の費用を積み立てていきます。これが「修繕積立金」です。

建物の状態が悪い老朽化したマンションは、売却時に買い手がつきにくくなってしまいます。時代に合った仕様や設備に取り換えるなど対策を講じないと、築年数の浅い高性能なマンションと競争できず、マンションの価値は低下します。賃貸に出しても入居者が決まらず、空室が多いと家賃回収ができないために、修繕積立金を支払えないオーナーも出てきます。

このような「負のスパイラル」が続くと資金不足で修理が行えず、ますます入居者が減って「スラム化したマンション」となってしまうのです。

そうならないためにも建物状況の回復に加え、時と場合に応じて仕様や設備を新しくするなどして住環境のグレードアップを図り、資産価値の維持・向上に努める必要があります。そのために妥当な額の修繕積立金が必要なのです。

2.修繕積立金がいくらのマンションを買うべきか

会議室

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では、修繕積立金はいくらぐらいが妥当なのでしょうか。そのような疑問に対し、国土交通省は平成23年4月に「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を発表しました。
このガイドラインは、おもに、新築マンションの購入検討者が修繕積立金の水準を判断する際の参考になるよう、修繕積立金の額の目安を示したものです。

マンションの修繕積立金の目安(均等積立方式)。国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」より

これは、新築時から30年間に必要な修繕工事費の総額を一定期間で「均等に積み立てる方式(均等積立方式)」による修繕積立金(月額)の目安です。
修繕積立金の額は、さまざまな要因によって異なるため、実際に作成された長期修繕計画を幅広く収集し、その事例の平均値と事例の大部分(3分の2)が収まるような幅として示しています。また、この計画は共有部分についてのものとなっています。

修繕積立金の金額は、購入を検討しているマンションの管理組合や管理会社に依頼すれば確認できます。そのほか、総会議事録や理事会議事録を閲覧することで、修繕積立金の未収金額や今後の値上げ計画、長期修繕計画書や修繕計画、修繕履歴などの情報を得ることができます。

3.まとめ

大規模修繕

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今までに依頼を受けてコンサルティングしたマンションで、長期修繕計画と修繕積立金において健全だと思う物件は2割ほどしかありませんでした。つまり、残りのマンションは修繕積立金が安すぎて、いざ大規模修繕工事をしようとしても積立金が足りない、一方で管理費が相場より高いなど、何らかの問題を抱えていました。なかなか難しいことではありますが、管理組合がイニシアチブをとって、適正な費用できっちり修繕と管理をしていくのがベストです。

長期修繕計画書の見直しは5年が目安です。会社や家計と同じように定期的に計画を練り直し、その都度適切な処置を行うことで、マンションの資産価値が守られます。専門知識がない方でも、長期修繕計画書や議事録を確認することで、きちんと見直しがされているのか、管理組合の議題に上がっているのかを知ることはできます。専門知識がなくても、資産価値が落ちないマンションを選ぶことは、そのような情報からでも十分できると思います。

眞鍋 豊洋

一級建築士、管理建築士、宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、損害保険募集人など、住まいに関する資格を多数保有し、多方面から問題解決を図るゼネラリスト。どの企業とも属さない第三者の立場で、購入者向けの建築・不動産コンサルティングを行うプロフェッショナル集団でコンサルタントとして様々な案件を担当し、現在は、住まい、家具、雇用の再生を目指す株式会社1Line(ワンライン)の代表取締役として活躍中。

Source: 日刊住まい

マンション管理組合の理事長に、現役ビジネスマンが最強なワケ

「サラリーマンこそマンションの理事に最適!」と説くのは、日刊住まいライターでもあるサラリーマン理事長。忙しい現役世代でありながら管理組合の理事長を引き受けた理由と、サラリーマンが理事長をする意義についてお話を伺いました。

ビジネスマンこそ理事長を経験すべき?

会議室

セーラム / PIXTA(ピクスタ)

マンションの管理組合の役員については、「面倒な仕事」というイメージを持つ人が多いようです。

輪番制で役が回ってきてしまったらどうしよう、その上、くじ引きで理事長になんてなってしまったら?と不安に思うのも無理はありません。
マンションの管理についてはほとんどの人が全くの素人。もしも、少しは専門知識があるという人がいたとしても、自分の住むマンションとなるとまた別の問題です。

月に一度の理事会、管理会社との慣れないやり取り、クレームへの対応もしなければいけないかもしれません。日々忙しい現役世代にとってはかなりの負担。「そういう仕事は暇な人がやってくれれば…」と考えてしまいがちですよね。

しかし、サラリーマン理事長さんは言います。

「それは違います! これからスキルをどんどん磨いていきたいと考えるビジネスマンこそ、理事長を経験すべきなんです!」。

45歳で資本金1億円以上の会社の社長になる!

サラリーマン

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力説をするサラリーマン理事長さんですが、「現役世代こそ理事長をすべき」というのは一体どういうことなのでしょうか?

現在、40歳の理事長さん。30歳になった時にビジネスマンとしての目標を立てたそうです。それは「45歳になったら年商1000億円以上の会社の社長になること」。
その大きな目標のために、仕事を変えながらスキルアップしてきました。

「マンションの理事長とは、会社のトップのようなもの。プランをつくり、みんなの意見をまとめ、お金を回す。社長がする仕事を疑似体験できる絶好の機会です」。

確かに、自分がスキルアップできるチャンス、とポジティブにとらえることもできますね。

「サラリーマンの仕事って、やや他人事ですよね。でも、マンションの理事長は、自分や家族が住んでいる場所なので、住み心地や資産価値に直結する。もちろん、会社の仕事のような報酬をもらえるわけではありませんが、若いうちに人の上に立つ貴重な経験ができる場なんです」と理事長さんは言います。

ビジョンを明確にすることの大切さ

マンション

まりも / PIXTA(ピクスタ)

また、会社は事業領域が決まっていて、取引相手やお客さんとも向いている方向が近いものですが、マンションに住んでいる人は年齢や性別、家族構成も住む目的もみんなバラバラの人たちばかり。

「初めからまとまったコミュニティではない分、大変さはもちろんあります。しかし、そういった人たちに同じ方向を向いてもらい、意見をまとめ上げていくことはすごく有意義だし、自分の将来のためにもとても良い経験ができていると思います」と理事長さん。

理事長に就任してから、住民の共通の目的を持とうと「100年間、安心安全で、代々木で最も美しく住まえるヴィンテージマンションへ」というマンションのビジョンを提唱したそうです。
会社であればあって当たり前のビジョンですが、確かにマンションにビジョンを持つというのは新しい発想ですね。

そして、このビジョンを持ったことで住民が同じ方向を目指し、意見もまとまりやすくなったそうです。

マンション理事長の仕事がスキルアップにつながり、社長となるための経験にもなる、という視点は新しいですね。また、ビジョンを持つことの大切さを実感するお話でもありました。

Source: 日刊住まい

マンション管理会社の変更は、検討だけでも意義あり。当事者が理由を語る

「サラリーマンこそマンションの理事に最適!」と説くのは、日刊住まいライターでもあるサラリーマン理事長。「理事長として、マンションの管理業務を委託している管理会社を変更する「リプレイス」を検討したことがあるそうです。その顛末を伺いました。

管理会社には「デベロッパー系」と「独立系」がある

調べもの

KY / PIXTA(ピクスタ)

代々木にある築40年超のヴィンテージマンションに住んでいたサラリーマン理事長さん。「100年間、安心安全で、代々木で最も美しく住まえる、ヴィンテージマンション」に向けて、管理体制も見直す必要がありました。というのも、理事長として日々管理会社のフロントマンとやり取りをする中で、不満が募っていたからです。

「議事録の間違いは日常茶飯事。過去の対応を把握していないし、やっておいてくれと言ったことを忘れているなど、サラリーマンである私の感覚からは信じられないことが続きました」。

そこで、理事長さんはそのほかの管理会社のことも調べてみることに。すると、管理会社には大きく分けて「デベロッパー系」と「独立系」があることを知りました。

デベロッパー系とは、建設会社をグループ企業に持ち、その建設会社が施工・販売したマンションの管理を自動的に請け負うことが多い管理会社です。

もう一方の独立系とは、系列グループを持たない管理会社のこと。系列会社のしがらみがなく、管理費が安めであるともいわれています。

別の管理会社と相見積もりをしてみたら…

マンション群

まちゃー / PIXTA(ピクスタ)

サラリーマン理事長さんはさっそく、管理実績が上位の管理会社3社について調べ、現在の管理会社と比較してみました。比較項目として挙げたのは、管理組合数、管理戸数、系列(デベ系か独立系か)、有資格者の人数などです。

ちなみに、現在の管理会社は業界20~30位の中堅で、建設会社が親会社となっているいわゆるデベロッパー系でした。

さらに、理事長さんは調べた3社に相見積もりを依頼。提案された見積もりを業務項目ごとに並べて比較してみました。

結果は、独立系とデベロッパー系の2社は、現在の会社よりも7~8割程度費用を抑えることができ、残りの1社は現在と費用がほとんど変わらないながらも業務内容が優れていると感じるところが多くありました。
「これは管理会社を変更することも前向きに考えるべきでは?」とサラリーマン理事長さんが思うのも無理はありません。

リプレイスを検討する意義とは?

話し合い

psisa / PIXTA(ピクスタ)

この結果を理事会ではかったところ、理事たちからは反対の声も上がりました。40年以上一緒にやってきて、このマンションを知り尽くしている会社がやった方がいい、と考える人が案外多かったそうです。

理事の間で意見が割れてしまったため、結果的には管理会社を替えるには至らなかったとのことですが、比較検討してみたことには意義があったと理事長さんは言います。
「マンションをつくった会社のグループだからと、これまで当たり前のように管理を任せ、なれ合いでやってきましたが、リプレイスを検討していることを伝えたことで、お互いにしっかりやろうという意識が生まれたことは良かったと思います」と理事長さん。

結果的に変更しなかったとしても、比較検討することで管理組合としても相場感などが分かってきますし、管理会社も「比べられているから、しっかりやらなければ」という意識が芽生えます。

マンション

スイマー / PIXTA(ピクスタ)

サラリーマン理事長さんの場合は、リプレイスには至らなかったそうですが、実際にリプレイスをしたことで、管理の質を変えずに管理委託費が下がったマンションも世の中には数多くあります。管理組合と管理会社は「ベストパートナー」であることが理想。なれ合いになってしまうのを避けるためにも、リプレイスを検討するのもアリかもしれません。

Source: 日刊住まい

ラクしたつもりで「マンション管理会社に丸投げ」実は大損の場合も

「サラリーマンこそマンションの理事に最適!」と説くのは、日刊住まいライターでもあるサラリーマン理事長。マンション管理組合の理事長としての経験から、マンションの管理業務を委託する管理会社に対して言いたいことがいろいろとあるそうです。まずは、そもそも管理会社って? というところからお話を伺いました。

「管理会社がやってくれるからマンションのほうがラク」は間違い?

掃除

Ushico / PIXTA(ピクスタ)

戸建てでは自分でやらなければいけない家の管理。毎日家の周りを掃除して、雨漏りがしたら業者を手配し、修繕のための急な出費も頭に入れておかなくてはいけません。

それに比べてマンションはラク。管理費と修繕積立金を払っているから、あとは管理会社が自分たちの代わりに全部やってくれる…そう思っている人は多いのでは。

「それ、間違いですよ」と、真剣な表情のサラリーマン理事長さん。「管理会社に全部お任せ、なんてありえません。自分たちのマンションは自分たちで管理しなくては!」。でも、それってどういうことなのでしょうか?

「管理会社はマンション管理のプロ」のはずが…

議事録

Ushico / PIXTA(ピクスタ)

マンションの住民でつくる管理組合は、正直、マンション管理の素人。それを補うために組合が管理を委託しているのが、管理会社です。つまり、管理会社はマンション管理のプロ。

しかし、サラリーマン理事長さんのマンションでは、「とてもプロの仕事とは思えない」ようなミスが散見されたそうです。

管理会社に委託している業務は、管理人を雇う、清掃員を派遣する、議事録をまとめるなどが主ですが、例えば議事録ひとつとっても満足のいくものではなかったと理事長さん。

「まとめ方がよくない、数字の間違いがある、挙句の果てには自分たちに都合のいいように内容を変えてしまっていました」。議事録修正のために毎回、担当者と5回も6回もメールのやり取りをしなければならなかったそうです。

管理会社は、管理組合から委託されてマンションの管理を代行するサービスを提供する会社なのですが、「サービスを提供している、という認識が低いのでは?」とサラリーマン理事長さんは疑問に思ったと言います。

マンション管理は「自分ごと」。管理会社をしっかりチェックしよう

腕組みする人

hanack / PIXTA(ピクスタ)

「もちろん、きちんと対応してくれる人もいますが、普通の会社のサラリ―マンならできることができない担当者もいる」そうで、「どんな担当者に当たるかは運」と理事長さんは言い切ります。

この話を聞くと、「管理費を出してあとはお任せ」で本当にいいのか? と疑問に思ってしまいますね。

最終的には、何度注意しても変わってくれない担当者にしびれを切らして、管理会社の社長を呼び出して注意をしたこともあるそうです。そして、その担当者は引継ぎも挨拶もなしに突然やめてしまったとか。

自分たちのマンション、やはり管理は「自分ごと」と考えて、管理会社の仕事をしっかりチェックするのが正解のよう。つまり、あくまでも管理の主体は管理組合側にあるということです。

お金を出して委託している以上「あまり言うと、うるさいと思われるのでは」と遠慮せず、また「面倒くさい」と放置せずに、自分たちのマンションをしっかり守っていく必要がありそうです。

マンション

haku / PIXTA(ピクスタ)

業務を任せられる分、戸建てよりマンションのほうが管理がラクなのはその通りだと思いますが、「ノーチェックのまま全部お任せ」はダメ、ということがよく分かりました。

管理組合がしっかりと機能し、管理会社に適切な指示が出せると、自分たちが本当に住みやすい環境を作っていけます。管理を丸投げしないことで、きちんとマンションの資産価値を守るだけでなく向上させることもできます。

サラリーマンの給料を毎年上げ続けるよりは、格段に少ない時間の投資で、大きなリターンがあるかもしれません。

Source: 日刊住まい