築50年の築古マンションのメンテナンス費用は5年で約650万円だった!

ヴィンテージマンションは人気物件のひとつですが、快適に住み続けるには築古ならではのメンテナンスが不可欠です。

東京・世田谷で大家をしているアサクラさんは、50年前に祖父が建てたマンションの経営を引き継いでから5年あまり経過。この間にマンション設備のメンテナンスに費やした維持管理費について教えてもらいました。

2015年は細かいメンテナンス工事が中心

では、2015年から見ていきましょう。

2015年一覧ごらんのとおり、細々とした修理が中心です。とくに換気扇の修理が目立ちますが、これには理由があります。マンションを引き継いで最初の年だったため、各部屋に挨拶に行った際「何か困っていることはないか?」と聞くようにしていました。

そのときもっとも多かったのが、換気扇に対する不満の声。

古い換気扇

見にくい写真で申し訳ありませんが、うちの換気扇は50年前のマンション建築時に造り付けられたもので、それ以来ずっと稼働していました。決して悪い造りではないのですが、経年の劣化もあって換気の力がだいぶ弱まってしまっているものもありました。
中には「料理をしていたら(煙がきちんと換気されないため)火災報知器が鳴ってしまった」なんていう声も。

ということで、状態の悪い4部屋で換気扇を補修しました。

2016年は漏水と屋上防水の劣化で出費がかさむ

この年、修繕費がどかっと増えました。

2016年一覧

漏水事故が発生し、対応に追われました。
漏水元となった部屋の水まわりは、案の定、建てられた当時のままの仕様。浴室ドア周辺の防水加工が劣化し、水が階下に漏れたのでした。

劣化した防水

劣化してボロボロになった浴室の壁

運悪く、下の階はリノベーションしたばかりの部屋。壁には漏水の跡が残ってしまいました。

漏水の跡

漏水元の部屋では浴室の修理を、下の階の部屋では内装の復旧工事をおこない、出費のダブルパンチ。
…と思ったら、今度は屋上防水の劣化も判明。台風や雪の日に、最上階の一部の部屋に漏水していたことが分かりました。

天井裏の漏水跡

はがれた天井には漏水の跡が

このとき初めて気づいたのですが、うちのマンションはこの10年間、屋上防水のメンテナンスをかなり怠っていたのでした。

屋上防水工事

屋上の防水工事におよそ240万円かかりました。
不幸中の幸いだったのは、建物に致命的な影響が出る前だったことでしょう。併せて、雨ざらしになっていた廊下の防水工事もおこないました。

2017年は水道ポンプの交換が響いた

前年に引き続き、この年も水難が続きます。

2017年一覧

水道ポンプの故障です。

水道ポンプ

通常、水道ポンプは2台が対になって作動しており、どちらかが故障しても片方が動作し続けている間に補修や交換ができるという仕組みになっています。
ところが、うちのポンプは片方が故障しているにもかかわらず、故障を知らせる警報音がオフになったまま使われ続けていたのです。もし残ったポンプが故障してマンション中が断水になっていたらと思うとゾッとします。

150万円近い出費は痛いですが、仕方ないとしか言えません…。

同じ年には水道管が故障していることを考えると、水道まわりの劣化は明らか。漏水も含め、築古マンションは水道管をどう維持していくかがポイントだと分かってきました。

また、自転車の盗難事件が起きたのもこの年でした。

対策のため、目かくしの柵を作り、ダミーの防犯カメラを設置しました。そのほか、ご近所への騒音を配慮して屋外洗濯機を室内に移設したのもこの年。

何も知らずにマンションを引き継いだこともあってか、どれも初めての経験ばかりで、古いマンションってお金がかかるなと実感した1年でした。

2018年は共用部の配電盤を更新

昨年までで大きな山を越えたのか、2018年は比較的少ない出費で済みました。

2018年一覧

しかし、ヒューズが切れたことによる停電が起こったのがこの年。

ヒューズは一度切れてしまうと新規に交換する工事が必要になり、とにかく手間がかかります。このときの停電は冬の夜に起こったため、入居者さんには寒い夜に、灯りと暖房のない数時間を強いることになってしまいました。

二度と同じ事態を引き起こさないために、共用部の配電盤を更新し、ヒューズ式からブレーカースイッチ式に変更。

ブレーカースイッチ

交換工事の必要なヒューズとちがい、スイッチなら戻すだけで復旧が可能です。電気・水道・ガスは生活に直結するだけに、しっかりとメンテナンスしなければいけませんね。

2019年も細かい出費は続く

この年も大きなトラブルはなかったものの、細かい出費が続きます。

2019年一覧

「屋上の脱気筒」というのは聞きなれない言葉ではないでしょうか。
これは2016年の屋上防水の際に敷いたシート防水と、既存の躯体の間に湿気が溜まってしまっていためにおこなった工事です。文字通り空気を抜くための「脱気筒」を数か所立て、ここから湿気を逃がします。

屋上に設置した脱気筒

そのほか、これまで2年に一回だった受水槽の点検と清掃を毎年に変更しました。

受水槽の清掃

うちのサイズだと法令上は2年に一度で問題ないのですが、水は口に入るものですからきちんとメンテナンスしたいという思いから毎年に変更しました。

5年間で600万円を超えるメンテナンス

以上を合計すると、5年間でなんと「6,430,094円」もの金額をメンテナンスに費やしたことになります。

5年間の合計

ご注意いただきたいのは、この中には「空室発生時のリノベーション費用」や「足場を組んでの外壁修繕の費用」は入っていないという点。いわば「メインどころ」を抜いた上での「その他のメンテナンス費用」です。

築古マンションの維持管理にはいかに手間とお金がかかるかが、お分かりいただけたのではないでしょうか。2020年は大きな出費がないことを祈ります。

Source: 日刊住まい