刀剣乱舞でも人気の兄弟太刀「鬼切丸(髭切)」「薄緑丸(膝丸)」の秘密に迫る → 春日大社『最古の日本刀の世界 安綱・古伯耆展』で実物を見比べてきた

鬼や化け物を切ってきた源氏の重宝・兄弟太刀の「鬼切丸(別名・髭切)」と「薄緑丸(別名・膝丸)」。日本刀の付喪神(つくもがみ)を擬人化したゲーム『刀剣乱舞』にも「髭切」「膝丸」の名で兄弟として登場し、現在も幅広い世代から愛される名刀だ。

そんな「髭切」「膝丸」が2019年12月28日〜2020年1月26日の期間、春日大社にて珍しく兄弟揃って展示されているのだが──実際に見比べてみると、この兄弟に隠された「秘密」が見えてきてしまった。通常、二階展示室は撮影禁止だが、今回特別に取材させていただけたので、さっそくご紹介したい!

・伝説の兄弟

2019年12月28日〜2020年3月1日までの間、春日大社で開催されている『最古の日本刀の世界 安綱・古伯耆(やすつな・こほうき)展』(観覧料:一般1000円・大学高校生600円・中小学生400円)では、天下五剣「童子切」をはじめとした名刀の数々が展示されている。

今回展示されている「髭切」と「膝丸」はゲーム『刀剣乱舞』で兄弟揃ってキャラクター化されており、どちらも人気キャラとなっている。今回の展示では会場内に等身大パネルが置かれていた。

そんな兄弟太刀の一振り「髭切」は、『安綱・古伯耆展』の中心となっている刀工・安綱に打たれたものだ。

罪人で試し切りをした際、刃が当たっただけの髭まで切れて「髭切」の名を受け、その後に鬼の片腕を切ったことから「鬼切丸」となった。場合によっては同じ刀工・安綱の打った天下五剣「童子切」と混同した鬼退治の逸話が語られることもある。

そんな「髭切」と「膝丸」が兄弟とされているのは、平安時代に清和天皇の孫である源満仲(多田満仲)が刀工・安綱へ依頼し、「髭切」「膝丸」を打たせたという伝説から。「膝丸」を見てみると、確かに「髭切」と姿が似ている気がする。

「髭切」と兄弟なだけあり「膝丸」の名も罪人を試し切りした際に膝まで切れたことからつけられた。後に山蜘蛛という妖怪を切って「蜘蛛切」へ、さらにその後、源義経が「薄緑」名付け……と現在にいたるまで複数の名がつけられている。そんなところまで兄弟そっくり。

しかし、実は今回展示されている箱根神社の「膝丸」は刀工・安綱の作ではないと言われている。真の作者は天下五剣「三日月宗近」の作者と同じ、刀工・三条宗近だと考えられているようだ。じゃあ「髭切」とは兄弟じゃないのか!?

せっかく「髭切」と「膝丸」が同時に展示されているので、じっくり見比べてみたいと思う。まずは全体の姿から。どちらも平安後期頃の作刀だと言われているが、この頃の日本刀はだいたい似た姿をしている。「髭切」「膝丸」も例に漏れず、姿は似ている。

刃文を比べてみると……「髭切」はゆったりと不規則に波打っているのに対し、「膝丸」の刃文は規則的に波打ち、全体は静かな水面のように落ち着いている。

刃以外の部分、いわゆる刀の肌「地鉄」の部分を比較してみよう。「髭切」の方は安綱をはじめとした「古伯耆」ものによく見られる「肌立った」と言われるような、模様がくっきりと浮かび上がっている状態に見えるが、「膝丸」の方は模様よりも潤っているようなツヤが目立つ。

逸話の上では「髭切」「膝丸」のどちらも刀工・安綱に打たれていることになっていたが、これは確かに作者が違うかもしれない……。しかも「兄弟太刀」伝説に追い討ちをかけるように展示されていたのが、刀工・安綱の太刀「天光丸」だ。

なんと「天光丸」は「髭切」と同じ鉄を使って同じ刀工・安綱に打たれた、「髭切」の「雌雄の太刀」だというのだ。「兄弟」でなくなぜ「雌雄」なのかは謎。日本刀のオス・メスを区別するの、ヒヨコより難しそう。

オス・メスの区別はさておき、確かに「天光丸」は刃や地鉄の感じが「髭切」と似ている気がする。仮に「膝丸」と「天光丸」のどちらが「兄弟」かと問われれば、こちらを「兄弟」だと判断してしまうだろう。

一方で、「膝丸」の真の作者だと言われる三条宗近の子、と伝えられる刀工・有成の太刀「石切丸」を見てみると……

細かく整っていて潤いのある肌や、落ち着いた刃文が「膝丸」に似ている気がしてくる。だが、「膝丸」に銘がないため、本当に三条宗近の作刀なのかも不明なのだ。「髭切」と三条の刀、どちらに似ているかは、自身で確かめてみてほしい。

「髭切」「膝丸」に限らず、どんな名刀でも正確な来歴はタイムスリップでもしなければ分からないものがほとんど。名刀に囲まれ自分の目で実物をじっくりと眺めながら、名刀にまつわる逸話に思いを馳せるのも結構楽しいよ。

・兄弟揃っての展示は前期のみ

繰り返しになるが、「髭切」「膝丸」が揃って展示されるのは『安綱・古伯耆展』の前期展示(2019年12月28日〜2020年1月26日)のみ。数々の名刀とともに源氏の重宝「髭切」「膝丸」兄弟を見比べられる機会はとても貴重だ。気になった方は、ぜひ見に行ってみてほしい。

・今回紹介したイベントの詳細情報

イベント名 『最古の日本刀の世界 安綱・古伯耆展』
開催場所 春日大社国宝殿(〒630-8212 奈良県奈良市春日野町160)
開催期間 2019年12月28日(土)~2020年3月1日(日)
(※前期:12月28日(土)~1月26日(日)/後期:2月1日(土)~3月1日(日))
(※「鬼切丸(髭切)」「石切丸」の展示は前期のみ)
営業時間 10:00〜17:00(入館は16:30まで)
(※特別開館延長日 2020年2月3日(月)・2月8日(土)~2月14日(金)は 10:00~19:00 (入館は18:30まで))
休館日 2020年1月27日(月)~1月31日(金)
入場料 一般1000円・大学高校生600円・中小学生400円

参照元:安綱・古伯耆展公式Twitter
Report:伊達彩香
Photo:RocketNews24.
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Source: ロケットニュース24

侍の「真の姿」が垣間見られる「侍展」が福岡市博物館で開催中! 名刀・甲冑等147点展示、うち国宝6割の豪華な魅力に迫る!

「侍」と聞くと、たとえどんなに歴史物に興味がない人でも、何かしらのイメージが浮かぶのではないだろうか。しかし、具体的に「侍」がどんな装いで、どのような武器を使って、どう戦っていたのかを詳しく知っている人はそういないのでは。「侍」──皆が知っているようで、実はあんまり知らない存在。

そんな侍の「真の姿」を垣間見ることのできる展示が、福岡市博物館で開催中だ。天下五剣・大典太をはじめ貴重な品々が出品されている上、人気ゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」とのコラボも行われている注目イベントだ。通常は撮影禁止だが特別に許可をいただき、学芸員さんに展示の見どころも教えてもらってきた。貴重な品々をさっそくご紹介するよ〜!

・実戦の中で変化していく「侍」

2019年9月7日〜11月4日まで福岡市博物館で開催されている、特別展「侍 ~もののふの美の系譜~ The Exhibition of SAMURAI」。通称「侍展」だ。入場料は大人が1500円、高校生・大学生が900円(どちらも当日券)、中学生以下は無料。展示は全部で147点あり、なんとそのうち約6割が国宝。豪華だ!

「侍展」では、日常的に戦いの中へ身を置いていた日本の「侍」たちに焦点を当て、今から1000年前頃・平安時代半ばから関ヶ原の戦いまでの甲冑と刀剣を展示。甲冑・刀剣が「戦いの中でどう変化してきたか」を見られるのが魅力だという。

とはいえ、どれも同じに見える……という人もいるかもしれない。そこで、「侍展」の担当学芸員・堀本一繁さんに見どころを聞いてみた!

まずは甲冑。変化の注目ポイントは、「隙間を減らしつつ、軽く、簡単に作れるように」なっていくことだそう。「侍」たちの時代が始まる平安時代半ばの上級武士用甲冑「大鎧(おおよろい)」はとにかく重い! 胴部分だけで20kgほど。盾がわりとして肩部分に下げる「大袖(おおそで)」はなんと片側だけで2〜3kg。

当時の馬に乗って弓矢で戦うスタイルに合わせ、馬にまたがっていても前後左右に身をよじれるよう、胴は四角で大きくガバガバ。中に袖が広がった着物を着ても腕を動かしやすいよう、脇はガラ空き。

そこから、時代が進むにつれて城などの拠点攻めが主流となり、騎射戦から立って戦うスタイルに変化。それにともない軽くてフィット感の高い「腹巻」がメインとなる。

接近戦でブスッとやられないよう、ガラ空きだった脇や胸元も詰められていった。

その後、フィット感と軽さを追求していった結果、女性物か子ども用かと誤解されるような腰がくびれて小ぶりなサイズ感に変化していったそう。確かにスタイル良い感じがする。

しかし、室町・戦国時代は一般人(雑兵・足軽)も巻き込んで戦っていた時代。多くの甲冑が必要となるにつれ、動きやすさ、軽さだけでなく、製作の簡単さも追求されるようになったという。

指ほどの大きさの金属や革をたくさん繋いで作られていた甲冑も、パーツごとを1枚にまとめて形成するスタイルに簡略化。腕の防御が袖と一体化した「籠手(こて)」になって、動きやすくなったのにもご注目。

甲冑のパーツが1枚板になったことにより、それまではパーツを構成するたくさんの糸の色で個性を出していたのが一変、戦場で目立ちまくる「変わり兜(かぶと)」が登場。それぞれの武将たちの個性が爆発してる〜!

個性といえば、西洋甲冑を日本風に仕立て直した「南蛮胴具足」も必見だ。西洋テイストミックスの甲冑は信長のもの、というイメージを持たれがちだが、実は家康以降にしかないんだとか。ちなみに、「侍展」の中で一番借りるのが大変だったのがこの南蛮胴具足だそう。見られるのは貴重だ。

続いて、刀剣の辿った時代ごとの変化のポイントはというと、重要なのは「反りとサイズ感」。平安後期頃から、茎(なかご:持ち手の部分)のそばから反る、腰反りのほっそりとしたスタイルの刀が登場。

当時、備前国(現在の岡山)で活躍した名工・友成の作と伝わる太刀などが展示されていて、その特徴がとらえやすい。ちなみに、現代に通じる「日本刀」が確立したのはこの頃だ。

鎌倉時代に突入し、武器の主役はいぜんとして弓矢だったが、歩兵が馬上の者や馬の脚へダメージを与える用などにで細長い太刀の他にも「長巻」「薙刀(なぎなた)」といった、持ち手が長くて反りが大きく斬りやすい刀もよく使われるように。ちなみに、弓矢の展示がないのは消耗品だったせいだそうな。

その後、拠点(城)攻め主流となっていった南北朝時代には「立って刀でダメージを与える」ために殺傷力が超絶高そうな大太刀がたくさん登場。反りも根元から真ん中辺りへと変わっていき、強さと切れやすさが追求されるようになった。

しかし当然ながら、デカくしすぎると振りづらく、実用に不向き。すぐに大太刀ブームは去り、室町・戦国時代には接近戦に有利な、鞘(さや:刀のカバー)から抜いてすぐに斬れるような、反りが小さく短めの「打刀」が主流に。大河ドラマ『軍師官兵衛』の主人公でおなじみの黒田孝高所用の「安宅切(あたぎぎり)」も打刀だ。

南北朝時代に作られた大太刀などは短く磨上げ(すりあげ)られて使われることが多くなったらしい。織田信長の愛刀だった「圧切長谷部(へしきりはせべ)」も、磨上げられた元大太刀の一振り。

「圧切長谷部」はガッツリ磨上げられているものの、通常は刃先にしかない焼きが刀身全体に散らばっている「皆焼(ひたつら)刃」の刀の中で一番出来が良いと評価されている。刀身全体に炎が揺らめくようなギラつき方がとても格好良い!

そして、そんな圧切長谷部を上回るほど出来の良いイチオシの刀だというのが「日光一文字」。刃文がとにかく華やか! 丁子の実に似た涙のような模様がたくさん、まるで花びらのように重なった「重花丁子」刃が見事である。

「日光一文字」は出来の良さが抜群なのに、同じ福岡市博物館所蔵の圧切長谷部と人気に差がついているのが悲しいそう。人だかりが出来にくい分、美しさをじっくり堪能できるチャンスかも?

他にも、「侍展」では国宝で一番小さな太刀「来国俊」と、国宝で一番大きな太刀「備州長船倫光」がともに見られるのもイチオシポイント。「来国俊」は54cmしかないのに、出来が良いため写真だと大きく見えてしまう。

159cmもある「備州長船倫光」は迫力が凄い! 同じ国宝の太刀でも「来国俊」との全長差1m。圧巻。

「見比べて欲しい刀」という観点では、短刀「太閤左文字」と太刀「江雪左文字」、刀「義元左文字」もオススメだそう。

九州発の刀の評価を爆上げさせた博多の凄腕刀工・左文字の傑作「太閤左文字」は刃中の模様や輝きが満載。刀身に光る粒(地沸:じにえ)もたくさん輝く名刀だ。

「江雪左文字」とともに左文字の特徴、鋒(きっさき:刀の先端)の焼き・「帽子」の形が鋭くグイッと突き上げて下がっているのを確認できるのは、刀剣好きにはたまらない。

10月6日まで展示されている「義元左文字」では、その特徴を見ることが出来ないのもある種、見どころの一つ。焼けて刃文がなくなり、焼き直しの際に別の人の手で刃が入れられたからだ。実物を、ぜひ現地にてじっくり見比べてほしい。

とんがった帽子は左文字、といったように、帽子がどんな風に入っているか? という点は刀工の個性が表れる重要な点なのだが、最近話題の「桑名江」を鑑賞するときも帽子にご注目。郷の特徴の1つは帽子、「鋒の全面に焼きが入っている」ことだとか。

作者の郷義弘はめちゃくちゃ凄腕ながら、銘を入れた作品が残っていないことから、本当にいたのか? というレベルに実態不明な幻の名工。しかし郷義弘の作、とされる刀が出来が良いことは間違いない。

謎の多い郷義弘が打ったとされる名刀が他の刀とどう違うのか、見比べてみるのも楽しいかも。

他にも、見比べるのがオススメの刀たちが。郷義弘と並ぶ名工・粟田口藤四郎吉光の刀が、「侍展」では「五虎退」「博多藤四郎」をはじめ4振り展示されている。吉光の作刀も、名刀揃いで有名!

ただ、展示されている吉光の作刀のうち1振り・「骨喰藤四郎」は銘がない。そのため、由来などに諸説あるミステリアスな一振りだ。

ちょっとマニアックな楽しみ方だが、目の保養がてら「帽子」や刃についた光る粒・沸(にえ)をじっくり見比べて、「骨喰藤四郎は吉光に打たれたのか?」と考えてみるのもオススメだ。

・コラボにグッズにイベントにと大充実

「侍展」、展示を見て楽しむだけで終わるのはもったいない。音声ガイドにも注目だ。なんと、「刀剣乱舞」で日本号を演じている声優・津田健次郎さんの美声で分かりやすくガイドしてもらえるよ〜! ガイドの内容が丁寧かつ聴き取りやすく、「刀剣乱舞」をプレイしていない人にもオススメ。しかし、イケボ過ぎて心臓止まりそうになるかも。筆者は死にかけた。

刀剣乱舞のキャラクターたちの等身大パネルやイラストの展示も。

そして、物販も見逃せない。会場は写真撮影不可のため、展示品の画像が載っている図録は必見だが、「侍展」オリジナルグッズ・「刀剣乱舞-ONLINE-」とのコラボグッズも充実しているのだ。特に、刀剣好きにはたまらない物が多いだろう。

中には、福岡の伝統工芸・博多織の紋様と「圧切長谷部」を感じながら長さを測れるメジャー、なんてのもある。圧切長谷部の全長や反り、鋒の長さなどがマークされていて、何かを測るたびに圧切長谷部を身近に感じられる、斬新なグッズだ。ちなみに、なんと手作り。

さらに、グッズだけでなく講演や、刀工が刀へ名前を刻む「銘切り」の体験、黒田官兵衛の甲冑レプリカ着用体験など、イベントも目白押しだ。気になった方は、公式HPのイベント情報をチェックしてみよう。

・10月には展示替えが

現在の展示内容は2019年10月6日まで。10月8日からは後期に突入し、一部展示内容が変更になる。詳しい展示内容を確認したい場合は、公式HPの出品リストを見てほしい。

ちなみに、「戦の中で進化した甲冑の最終形態」とも言える品・豊臣秀吉から伊達政宗に贈られた甲冑は、後期スタートから少しズレた10月16日から展示が開始される。戦いの中で進化していった甲冑の行き着く先が見たい方は、ぜひ。

・今回紹介したイベントの詳細情報
イベント名 特別展 「侍 ~もののふの美の系譜~ The Exhibition of SAMURAI」
開催場所 福岡市博物館 2階 特別展示室 (福岡県福岡市早良区百道浜3丁目1-1)
開催期間 2019年9月7日(土)〜11月4日(月・振休)
営業時間 9:30〜17:30(入場は17:00まで)
休館日 月曜日休館 月曜日が休日の場合は翌平日が休館
入場料 一般1500円、大学・高校生900円(当日券)、中学生以下無料

参照元:侍展Twitter侍展グッズコーナー情報Twitter福岡おもてなし武将隊Twitter
Report:伊達彩香
Photo:RocketNews24.
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Source: ロケットニュース24

「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展+EVANGELION ARTWORK SELECTION」へ行ってきたので、その魅力を刀剣好きの視点からお伝えしたい / 新宿高島屋

1995年から放送されていたTVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」を皮切りに、国内外を問わず幅広い世代から愛され続けている「エヴァンゲリオン」シリーズ。そんな「エヴァンゲリオン」シリーズの新劇場版と日本の伝統文化である「日本刀」がコラボした「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」が、特別展示「EVANGELION ARTWORK SELECTION」とともに、パワーアップして東京に帰ってきた。

行ってきた筆者が目にしたのは、「日本刀」の固定観念をブッ壊すような刀たちと、貴重なセル画・原画・設定資料の数々。さっそく語りたいところだが、残念ながら大人の事情により記事内では原画の魅力を語ることが出来ない……ので、今回はあえて刀剣好きの視点から、見どころを徹底的にお伝えしたい!

・エヴァ好きも刀剣好きも楽しめるイベント

「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展+EVANGELION ARTWORK SELECTION」は、新宿高島屋にて2019年8月30日〜9月9日に開催されている。入場チケットは1000円で、大学・高校生は800円(どちらも当日券)。中学生以下は無料だ。

なお、「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」は2012年からはじまり、全国で巡回展示をしている人気企画である。東京に戻ってくるのは6年ぶりで、前回の東京での展示からその内容がパワーアップしているとのこと。しかも同時に原画などの特別展示もあるらしい。

・会場に行ってきた

会場内に入るとさっそく出迎えてくれる初号機に、テンションが上がる。

「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」が6年前の東京での展示からパワーアップした点の1つ目は、完成した「刀野薙(なたやなぎ)」の展示だ。「刀野薙」を前にすると、まずその大きさに圧倒されてしまうだろう。

台座が刀身や柄(つか:刀の持ち手部分の外装)と同じく展示の主役となっているのが面白い。本来ならば柄に施す「柄巻き」が台座の足に施されているのもポイントだ。

「刀野薙」は、「エヴァンゲリオン」シリーズのメカニックデザインを担当している山下いくと氏が「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」のために描き下ろした初号機が持つ武器を、格別の腕前を持つ証「無監査」という資格を持つ刀匠・宮入小左衛門行平氏が作刀したという、日本の伝統工芸と新しい文化がシンクロして誕生した逸品だ。

山下氏が「日本刀」を構成する要素をバラバラにし、あえて「日本刀」のルールに則らず再構成してデザインしたという「刀野薙」。革新的なデザインの柄や台座はもちろん、刀身のみに注目しても、従来の「日本刀」と一線を画す存在であることが分かる。

その刀身は「日本刀」としては異例の姿でありながら、刃文や肌(地鉄の模様)の美しさは古くから伝わる「日本刀」作刀の技術によるもの。ゆったりと波打つのたれ刃に、ふわふわと輝く匂(におい:刃文のキラキラした細かい粒子)。地鉄部分にはっきりとあらわれる板目のような肌には、「日本刀」としての美しさが顕著にあらわれている。

ちなみに、柄と台座は木材に漆を塗り、描かれた文字や模様などは金箔で表現されて製作されているという。斬新なデザインだが、そこには日本の伝統工芸の技術が結集し、形作られているのだ。

そして、6年前に開催された東京での展示からパワーアップした点の2つ目は、新劇場版に登場するEVAやそのパイロットたちのプラグスーツをモチーフにして作られた刀子(とうす:便利道具として使われる小刀)が5点揃ったことだ。

刀子の刀身部分は5本とも同じデザインで、EVAのエントリープラグを模している。

拵(こしらえ:刀の外装)のデザインはそれぞれ異なっており、そのカラーリングはもちろん、装飾にも各EVA・プラグスーツの要素が盛り込まれており、例えば初号機仕様の拵には暴走時の姿を思い起こさせるような歯をかたどった飾りが付いている。

2号機・8号機仕様の拵には、EVAの目玉と同じ色・数の石がはめ込まれている。EVAの胴体拘束具をイメージしたという金具が描く曲線が美しく、どこか女性らしさを思わせる。

零号機仕様には可憐な花の飾りがつけられており、花の中にEVAの目玉の赤・頭頂部の緑に対応した色石がはめられている。

刀子のモチーフになっている他のEVAとは違い、ゼーレ主導で建造されたEVA・Mark.06仕様の拵は、ゼーレのシンボルマークにも登場する「楽園の蛇」をイメージした飾りの他、Mark.06が作られた月面をイメージした金具が鐺(こじり:鞘の末端)につけられているのがその異質さを演出している。

もちろんこれらの他の、6年前にも展示されていた作品だって見どころ満載だ。特に、人間サイズにアレンジされたとはいえ、3mをゆうに超える「ロンギヌスの槍」の迫力には、何度見たって圧倒されるだろう。ちなみに、形の特殊さなどから、刀匠が製作しているものの「日本刀」としては認可されないため、刃をつけず、先端を丸くしてオブジェとして作られている。

「ロンギヌスの槍」には日本刀に本来使用される「玉鋼」だけでなく、ニッケルやコバルトなどの合金が複数重なっている「ダマスカス鋼」を使用している。そのおかげで、従来の日本刀よりもくっきりとした、ゾッとするほど妖しい魅力を放つ綾杉の木目のような肌があらわれている。ねじれの部分も見事だ。

他には、山下いくと氏がメカニックデザインのみならず執筆なども担当した「エヴァンゲリオンANIMA」などに登場する武器「マゴロク・エクスターミネート・ソード」を人間が扱えるようアレンジして再現した「マゴロクソード」も。拵は鞘師の森隆浩氏にデザインされており、従来の日本刀の拵からあえて大きく逸脱せず、初号機の武器らしさが表現されている。

刀身は、最近「るろうに剣心」の逆刃刀を再現したことで世間を賑わせた現代の刀匠・尾川兼國氏によって作刀されている。作中で「マゴロク・E・ソード」のベースとなった刀の生みの親、室町後期から活躍した刀工「関孫六」と同じ関の刀匠・尾川氏により、「関孫六」の特徴的な三本杉の刃文などが再現されているのも見どころだ。

そんな「マゴロク・E・ソード」の対になる補助武器「カウンターソード」も再現されている。刀身は「エヴァンゲリオン」に熱い想いを抱く刀匠・川崎晶平氏によって、拵は鞘師ではなく造形家の上田隆弘氏によって製作された。銃でありながら刀でもある「カウンターソード」の拵が、作中のデザインに忠実な造形と、漆による重厚なカラーリングで再現されている。

刀身は「冠落とし」という技法で刀身の背側を薄くし、強度を保ちながらも実際に扱う際に取り回しやすいようにされているようだ。意図的に大きく、鋭く作られたという切っ先がカッコいい! 60cm未満という「脇差」に近い刃長ながら、大きく斬新なデザインの拵に負けない存在感がある理由の一つだろう。

ちなみに、「新世紀エヴァンゲリオン」、旧劇場版の主題歌「残酷な天使のテーゼ」「魂のルフラン」を歌われている高橋洋子氏が本展の内覧会にゲストで登場した際、この「カウンターソード」を手にしていた。「ハイパーアジアンミックス」がテーマだという衣装と「カウンターソード」がとてもマッチしている。

高橋氏は笑みを絶やさず「カウンターソード」を構え、取材陣の要求に応えて様々なポーズをとっていたものの、「カウンターソード」の美しさに惚れ惚れするとともに、「(手にするのが)怖い」と畏怖の念を零していたのも印象的だった。

ちなみに、「マゴロクソード」「カウンターソード」の他にも「エヴァンゲリオン ANIMA」に登場する武器が再現されていた。刀身だけで144.2cmという「ビゼンオサフネ」は作中デザインの再現度も高く、その迫力で来場者を惹きつけて離さない。

長大な刀身に大きく乱れる刃文の豪壮さは凄まじい。刀身上を大暴れしているような見事な刃文に艶やかな肌は、古くからの「日本刀」の魅力があらわれている。近未来の武器らしい革新的なデザインの拵とのギャップが素晴らしく、ぜひ実物を味わっていただきたい一振りだ。

作中に登場する武器の再現だけでなく、作中の登場人物や事象をイメージして作られた日本刀も魅力的だった。作中に登場するミステリアスなキャラクター・綾波レイをイメージした拵と、レイを様々な攻撃や危うさから「守る」ことを意識して作刀された太刀も見応え抜群。しっかりとした刀身には静かに刃文が広がり、大きな切っ先にはレイの強さが表現されている。

対して渚カヲル仕様の刀は、カヲルが静かで穏やかな世界を望んで「振るう」刀、というイメージで作られている。拵で海を、江戸時代の刀に多く見られた「風景を描く」ように山や雲をイメージして入れられた刃文で、天と地を表現している作品だ。砂浜を表現するために原材料の鮫皮が切り替えられている柄には、非常に難易度の高い技術が用いられている

自由奔放に見えるキャラクター、真希波・マリ・イラストリアスのプラグスーツ姿からイメージを得て作られた短刀もある。細身の刀身と曲線的なくびれた刃文で、マリの女性的なプロポーションを表現しているのが面白い。拵はマリの「異質さ」を表すかのような、通常の「日本刀」の拵と大きくかけ離れた未来的なデザイン。

ちなみに、シンジ仕様・アスカ仕様の刀はないものの、初号機仕様の脇差、2号機仕様の短刀は展示されている。

中でも2号機仕様の短刀は、女性らしい柔らかな刃文が輝く刀身に透し彫りされた、アスカの立体的な像のインパクトが凄まじい。残念ながら展示では見ることが出来ないが、アスカの後ろ姿もしっかり彫り込まれているので、気になる方はぜひ図録で確認して欲しい。また、アスカの少し下、斜めになっている鎺(はばき:刀身の手元部分にはめる金具)にも注目だ。

2号機仕様短刀の拵は、柄と鞘がぴたりとくっつく部分を斜めにしている。この斜めにされた鯉口(鞘と鐔が接する部分)のために、異例の斜め鎺が作られたのだ。刀が鞘から抜け落ちないようにする鎺はただでさえ調整が難しいようだが、通常と異なる斜めになった鎺は製作が難しく、製作された白銀師・野口氏は何度も刀の元へ通って微調整されたそう。斬新なデザインの拵ならではのエピソードだ。

「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」には他にもまだまだ、語りつくせないほどの見どころがたくさんある。エヴァ好きはもちろん刀剣好きも大満足できる、日本文化の魅力と未来が詰まった展示だった。

・原画や資料も見逃せない

原画や設定資料などが約200点も展示されている「EVANGELION ARTWORK SELECTION」も見逃せない。「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」だけでも大満足なのに、同じ会場内で貴重な原画などを堪能できるお得ぶり。しかも、TVシリーズや旧劇場版のセル画まで見ることが出来る!

残念ながら、大人の事情により記事内で原画を1点ずつ紹介することは出来ない。しかし、TVシリーズや旧劇場版のセル画のほか、今までに公開された新劇場版3作の原画や設定資料が展示されていたことは声を大にしてお伝えしたい。

それぞれの作品の、登場人物たちの魅力が溢れるシーン、印象的なシーン、世界観があらわれているシーンのセル画や原画が、惜しみなく展示されていた。

設定画やイラストボード、さらには設定案なども展示されており、そこに描かれているイラストだけでなく、指示などのために書かれている文字や、線の消し跡なども含め、すみずみにまで見入ってしまった。

そして出口の手前、一番奥には2020年6月公開予定の「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の映像や設定資料が展示されており、じっくりと眺めることが出来る。なお、本展示会は「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」コーナー以外は全て撮影OKという太っ腹ぶり。お気に入りの日本刀や原画などを生で見て、写真に撮って家でもまた楽しめるのはとても嬉しい。

・コラボメニューやグッズも

本展示会に合わせて、新宿高島屋ではエヴァと飲食店などのコラボメニューやコラボグッズが販売されている。筆者も展示会を楽しんだ後、地下1階にある「ジェラテリア・パンチェーラ」で初号機イメージのジェラート(730円)をいただいた。紫芋味・抹茶味・マンゴー味のジェラートが乗っていて、色合いがめっちゃ初号機! しかもそれぞれがとても美味しい。

ジェラートは初号機の他、零号機・2号機イメージのものもある。ちなみに、初日の8月30日時点では、一番人気は初号機だったよう。

他にも、同じく地下一階にある「旬月神楽」の使徒をモチーフにした上生菓子(432円)も気になっていたのだが……

なんと、初日は開店して1時間も経たないうちに完売! 皆、使徒好きすぎる。

他にも、登場人物やEVAをイメージしたドリンクを販売しているところなどがあるため、気になる方は公式ページで確認して欲しい。

・開催期間は短いが要チェック!

何度もお伝えしているように、この展示はエヴァンゲリオンがお好きな方はもちろん、日本刀がお好きな方も絶対に楽しめる展示だった。

しかし、先にも述べたとおり本展示は2019年8月30日から9月9日までと、開催期間がすこぶる短い。気になる方はぜひ、お早めに足を運んでほしい。

・今回紹介したイベントの詳細情報

イベント名 ヱヴァンゲリヲンと日本刀展+EVANGELION ARTWORK SELECTION
開催場所 新宿高島屋(東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目24番2号)
開催期間 2019年8月30日〜9月9日
営業時間 10:00〜20:00(入場は19:30まで。6・7日は20時まで入場可、20時半閉場。最終日は16時半まで入場可、17時閉場。)
入場料 一般1000円、大学・高校生800円(当日券)、中学生以下無料

Report:伊達彩香
Photo:RocketNews24.
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Source: ロケットニュース24

『るろうに剣心』の「逆刃刀・真打」が史上初の日本刀として誕生&展示!! 見に行って、作刀したスゴ腕の刀匠に製作秘話を聞いてきたよ!

国内外で高い人気を誇る『るろうに剣心』から次元の壁を超え、とてつもない物が生み出された。なんと主人公・緋村剣心の愛刀「逆刃刀・真打」が、公式の許可を得て初めて、現代の名刀匠によって正真正銘の日本刀として打たれたのだ。『るろうに剣心』ファンのみならず、刀剣好きも見逃せない逸品だ。

そんな「逆刃刀・真打」は2019年8月1日から『博物館明治村』にて、剣心たちの生きる激動の時代が感じられる貴重な品々とともに展示されている。剣心が抱く「不殺(ころさず)」の信念を印象的に現している逆刃刀。果たして、どのように再現されたのか……!

・これがリアル「逆刃刀・真打」かッ!

愛知県・犬山市にある『博物館明治村』。歴史的建造物をそのまま移築するなどして保存・展示している博物館で、その名の通り明治時代を感じられるのが特徴だ。

そんな明治村では2019年8月1日〜12月15日の期間中、「博物館明治村 × るろうに剣心ー明治村剣客浪漫譚ー」という、剣心たちの生きる明治時代を感じながら、『るろうに剣心』の世界観を楽しめるイベントが開催されている。

このイベントにおける目玉企画の一つ「るろうに剣心特別展 剣心が見た幕末と新時代の到来(800円)」にて、初めて公式から許可を得て日本刀として「逆刃刀・真打」が再現され、展示されているのだ。

本来「るろうに剣心特別展」の展示物は撮影禁止だが、特別に許可をいただき撮影することが出来たので「逆刃刀・真打」の魅力を、余すところなくお伝えしたい。幼少期に剣心のマネをして傘を2本ダメにした筆者、まさか逆刃刀をこの目で拝める日が来るとは!

リアル「逆刃刀・真打」、美しい……ッ! 本来であれば日本刀の刃は反りの外側につけられるが、原作同様、峰側(日本刀の背部)である反りの内側に刃がつけられている。これは日本刀としては前代未聞なのだ。しかし鑑賞しても、その美しさのせいか不思議と違和感を覚えない。

剣は凶器、とは思えなくなるほど綺麗な姿。しかし、もちろん美しいだけではない。緩やかな反りのついた、幅広い刀身からは力強さも感じる。原作では場面によって反りが異なって描かれているが、それらを参考に名刀匠が考えに考え、この反りにしたそう。

刃文も同じく場面によって描かれ方が異なったため、それらの印象を合わせて大小に波打つような互の目(ぐのめ)刃を描いたという。穏やかなようで変化に富んだその刃は、原作の逆刃刀に合っているだけでなく、主人公・剣心をも表しているかのよう。

刃についた沸(にえ:キラキラ輝く、光る粒のようなもの)もとても綺麗。

肌(地鉄の模様)は、板の模様に似た柾目(まさめ)混じりの杢目(もくめ)肌。潤っているように見える肌は、いつまでも眺めていられる美しさ。

史上初の「逆刃刀・真打」を打ったのは、現代の名刀匠・尾川兼國氏。「無監査」という、日本美術刀剣保存協会主催の刀剣コンクール「現代刀職展」において特賞を複数回受賞し、受賞審査を必要としない資格を持つ、いわば別格の刀匠だ。刃物の町・岐阜県関市において重要無形文化財保持者でもある、凄いお方。

そんな兼國氏でも、前代未聞の逆刃刀を作刀するにあたり難しかった点があったかを伺うと、

「切っ先。特に帽子だね。あと切っ先の鎬(しのぎ)も、普通の日本刀のようにつけたらダメだった」

と即答。切っ先の刃文・帽子の描き方と、刃と峰の間にある盛り上がった部分・鎬の付け方に悩まされたそう。苦悩の結果、多くの日本刀と異なり浅めに描いたという帽子からは、逆刃刀が持つ強さを感じる。

鎬が切っ先まである刀は珍しい。しかし「逆刃刀・真打」では通常の日本刀のように鎬をつけると違和感が生じたため、原作を確認しつつ、あえて切っ先まで鎬を作ったという。原作の「逆刃刀・真打」を確認したところ、描き方がまちまちなものの、切っ先まで鎬をつけて描かれている場面がいくつかあった。気になる方は是非確認して欲しい。

しかし、逆刃刀に悩まされたのは刀匠だけではないという。兼國氏いわく、

「ハバキも鞘も普段と逆に刃がついてるから、皆おさめるのに苦労していた。でも、一番大変そうだったのは研ぎ師!」

刃が本来とは逆につけられていることで、ハバキという刀身の手元部分にはめる金具を作る職人・白銀師さん、刀身の美しさを引き出す研ぎ師さんに、刀を保存するための白鞘を作る鞘師さんまで、関わる職人さんを軒並み苦悩させたそう。

特に研ぎ師さんは、刃が反りの内側についていることで研ぐ際の滑りが悪くなったようで、「研ぎを3回もやり直していた!」とのこと。それでも逆刃刀の輝く刃文や肌を際立たせた研ぎ師さん、ご苦労がうかがえる……!

ところで、兼國氏は『るろうに剣心』を読んだことがなかったそう。架空の刀を再現するのも初めてとのことだったので、なぜ逆刃刀の再現依頼を受けたのかお尋ねしたところ、

「作刀の依頼が来たから。来たからには受けるし、受けたら『できない、やれない』なんて言えない」

格好いい……! そんな職人さんたちの試行錯誤の上に再現された「逆刃刀・真打」。原作ファンのみならず、刀剣が好きな方々にも是非、じっくりと鑑賞していただきたい。その凄さがきっと、伝わってくるはずだ。

ちなみに逆刃刀の厚みを確認してみると、かなりしっかりとしていた。実際にリアル逆刃刀を手に取った経験のある明治村職員さんいわく、思っているより重量感があったそう。そんな重い逆刃刀を振るい、「不殺(ころさず)」の誓いを守り続ける剣心の剣の腕、やはり尋常ではない……。

切っ先が向く方から鑑賞してみると、展示ケース内におさめられているのに、思わずぞくりとしてしまう迫力。美しい、と思いながら鑑賞してきたが、やはり剣は凶器というのも真実なのだと実感する。

原作では、作中の刀匠・新井赤空によって打たれた「逆刃刀・真打」。その茎(なかご:柄に収められる持ち手の部分)には、赤空が平和な世を祈った辞世の句が刻まれているのだが、再現された「逆刃刀・真打」にもしっかりと、赤空の辞世の句が刻まれている。

赤空の孫の世をいく年も超えた現代。現代を生きる我々は、平和な時代を創る人になっていけるだろうか。逆刃刀を眺めながら、平和な世界に思いをはせた。

・『るろうに剣心』の世界を感じられる展示

「るろうに剣心特別展」の見どころは逆刃刀だけではない。『るろうに剣心』作中の時系列を追いながら、その頃の実際の日本を表すような歴史的資料が展示されているのだ。

剣心たちが生きる江戸幕末期から明治初期は、『るろうに剣心』の作中でも、そして現実でも激動の時代だ。『るろうに剣心』の世界を、そして日本の歴史を実感出来る品々は、絶対に見逃せない。剣心たちが生きる世界をよりリアルに感じることが出来るだろう。

明治村にある建造物にも関連する展示の他、『るろうに剣心』にも登場する実在の人物たちに関連する品々も展示されている。大久保利通直筆の色紙が展示されていたり。

斎藤一の愛刀とかたられることが多い「関孫六」の刀も展示されていた。

関孫六も含めた美濃(現在の岐阜県)の刀に多い、三本杉の刃文がはっきりと出ている刀だ。

「逆刃刀・真打」と見比べるのもオススメだ。切っ先の違いも分かりやすい!

この特別展の他にも、「博物館明治村 × るろうに剣心ー明治村剣客浪漫譚ー」にはまだまだ『るろうに剣心』の世界が楽しめる企画がたくさんある。剣心を探す物語を楽しめるスタンプラリーや、飛天御剣流奥義「天翔龍閃」にチャレンジ出来る企画も。明治村のスタッフさんにお手本を見せてもらった。

「天翔龍閃」を会得しようと練習した方も多いのではないだろうか。練習の成果を発揮するチャンスだ。この企画では居合抜きの速度を計測し、ランキング形式で表示される。神速を超える超神速の抜刀術を会得している方々の戦いが見られることだろう。

計測された居合抜きの速度から、己のの速さを知り、満足するか、さらなる高みを目指すか。

ちなみに、「天翔龍閃」チャレンジが出来る道場は、明治ではなく大正時代の建造物だが、実際に使われていた武術道場だ。

イベント期間中、道場の一部が神谷道場風に模様替えされている。

しっかりと名札も下げられているのだが、薫殿がまだ師範代だったころの仕様……! 細かいところだが、気づくと嬉しい。

イベント期間の中頃、9月11日からは新たなスタンプラリーが始まるほか、明治村内にある牛鍋屋「大井牛肉店」が作中に登場する牛鍋屋「赤べこ」に模様替えされるようだ。明治時代に牛鍋屋として実際に使われていた建造物で、「赤べこ」を感じながら牛鍋が食べられるとは。妙さんや燕ちゃん、弥彦がいないか、思わず探してしまいそう。

上記の他にも、まだ秘められた企画があるという。イベント最終日の12月15日まで、明治村から目が離せない。遠方住まいながら、イベント期間中何度でも入村出来るよう、『るろうに剣心』仕様の「明治村住民登録(2500円)」をするべきか悩んでしまう。

・今回訪問した施設の情報

施設名 博物館明治村
住所 愛知県犬山市字内山1番地
営業時間・定休日 時期・日によって異なる(来村の前に公式サイトで確認することをオススメする)

参考リンク:博物館明治村 × るろうに剣心ー明治村剣客浪漫譚ー
Report:伊達彩香
Photo:RocketNews24.
©和月伸宏/集英社


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