団地リノベのレトロ感っていいよね〜。コスパいいリノベのコツを建築家が自邸を例に教えます

リビングでくつろぐ夫妻と猫

レトロ感を生かした団地リノベが、今人気です。年月を重ねたものが持つ味を生かして、コスパよくリノベできてしまうのが魅力の団地リノベ。では実際、どういったところがコストダウンのポイントとなるのでしょうか?

今回は自身も団地リノベをしたという、建築家の長久保健二さんが、自邸を交えてポイントを解説してくれました。コストにまつわる工夫、アイデア、リノベの楽しみ方の参考に!

既存の「味」を生かして心地よい団地暮らし

長久保さんがリノベで重視したことは、コスト、眺め、光、周囲の環境。すべてをクリアした物件が、築39年の団地でした。建設当初から使い継がれてきたパーツをアクセントにして、やわらかくやさしい空間に仕上げました。

間取り(リノベーション前後)

長久保さん宅の間取り

大きな間取り変更は行わず、2室あった和室はそのままに。東側の個室と玄関をつなげてワークスペースを新たに設け、玄関のたたきを拡張。リビングとダイニングの間に、ラワン合板で、空間を切り取るような緩やかな間仕切りを設けました(2018年4月竣工、千葉県船橋市)。

長久保さん宅の工事費の内訳

長久保さん宅の工事費

団地のレトロ感を残しつつ、快適な住まいを実現

ポイント1:間取りを大きく変更せず、緩く仕切る

ほとんど間取りを変更せずコストダウン。

「古い壁を新しくするだけでは、団地のいい表情を残すことができない。既存のよさをどう残すかが、団地リノベの醍醐味です」(長久保さん)

LDをラワン合板で緩やかに仕切ることで、リビングを景色として切り取る額縁のような新鮮さがプラスされました。既存のままとした和室には、有孔ボードを使った収納棚を造作して場を分けることに。

LDに開放的な間仕切りを設置

ひと続きだったLDに開放的な間仕切りを入れました。おかげで、広々としたイメージはそのままに個室感があります

ポイント2:既存の床材の上から床を張る

リノベ前に床下をチェックしたところ、腐食などはなく状態がよかったため、重ね張りにしたことで、解体・撤去費用の削減、工期の短縮につながりました。ダイニングの床は、DIYで塗装したラワン合板を使用、リビングの床はオーク複合フローリングで仕上げました。また、2つの和室の壁は既存クロスの上から塗装。

ポイント3:壁をはがして「現し」にする

壁紙とタイルが貼られていたキッチンの壁をはがしたところ、その表情に惹き付けられた夫妻。接着剤の跡や建設時のスタンプの跡なども、ヴィンテージ感があると感じ、「現し」にすることに。洗面所と玄関も同様に、現しを採用。

壁の一部を現しにして黒タイルで仕上げたキッチン

独特の色と質感がレトロな団地の風景と合い、唯一無二の空間となりました。夫婦で壁をはがしたのもいい思い出に。

ポイント4:設備や配管の位置をそのまま利用

キッチンや洗面、浴室など水回りの位置を一切変えずに設備工事費を削減。リノベ前に給排水設備をチェックしたところ、前のオーナーが交換していたようできれいだったため、既存の配管をそのまま利用しています。

現しと黒タイルで壁を仕上げたサニタリー

シンプルな洗面ボウルとミラーキャビネットのみでミニマム、かつ低予算で仕上げた洗面室。

団地リノベの楽しみ方、教えてください

戸建てを検討しながらも、団地に惹かれてリノベーションした長久保さん。団地や集合住宅のリノベーションと、そこで暮らすための予備知識を教えてもらいました。

Q.後悔しないリノベーションをするための心構え、教えてください。

A.どんな暮らし方がしたいか、を考えておくことが大事

ローテーブルのある書斎

リノベーションは、物件の内覧のときから始まっていると思います。「どんな暮らしがしたいか」を思い描きながら、物件を見る。ベランダでたくさんの植物を育てたい。夫婦それぞれにくつろげる空間が欲しい。老後の暮らしを考えて予算的に無理をしないこと…。私も理想の暮らしを考えながら物件を選びました。

ゆずれないポイントがしっかり押さえられていれば、物件のマイナス面もカバーできるのかなと思います。

Q.集合住宅での暮らし、不安があります。

A.購入前に、物件の管理状態をよくチェックしておくといいと思います

窓からの眺め

これも、物件を見るときのポイントになりますが、管理組合や管理会社が実動しているかどうかを不動産屋さんに聞いておくといいと思います。集合住宅で多いトラブルは音の問題ですが、管理側が立ち会うことで解決することもあると聞きます。大規模修繕の時期や配管の交換時期も聞いておくといいですね。コスト削減につながることもあります。

Q.個室は欲しいけど、閉塞的なのはいや!なにかいい方法は?

A.緩やかにゾーニングすると、コスト削減にもつながります

拡張した玄関の横にあるワークスペース

わが家ではリビングとダイニングの間に、大きな額縁のような間仕切りを設置していますが、ダイニングとリビングはつながっていて開放的なのに、リビングに入ると落ち着く。結果として夫婦、そして猫のお気に入りペースになりました(笑)。

新たに壁を設けるのはそれなりにコストがかかりますから、開放的な間仕切りや室内窓、腰まで高さの収納棚などで緩やかに空間を分ける、というのもひとつの手だと思います。

Q.床材や壁材にラワンベニヤが人気と聞きました。

A.人気アップとともに価格もアップ。取り入れるなら色味に注意!

内装のイメージ

ラワンベニヤは店舗などでも使われることが多く、最近人気がありますが、黄色っぽいもの、赤っぽいものなど色にばらつきがあります。

わが家でもリビングの床と壁に使いましたが、ピンクっぽい色を希望していたのに、届いたものが黄色く、イメージに合わなかったので交換してもらいました。好きな色味を設計者や工務店にしっかり伝えておいたほうがいいと思います。

長久保 健二さん

●教えてくれた人/長久保 健二さん(長久保健二設計事務所)
都市デザイン研究所、田縁建築設計事務所勤務後、2015年に独立。光や風、景色を感じられる設計をモットーとし、新築やリノベーションを手掛ける。船橋市、墨田区にショールーム兼オフィスがある。書道家の妻、猫と暮らす。

撮影/山田耕司 ※情報は「リライフプラスvol.37」取材時のものです

Source: 日刊住まい

45㎡でも家族4人のびのび暮らせるリノベ「この団地に出会えてラッキー!」

壁付けから対面式にリノベーションしたキッチン

東京都内の団地の一室を購入して、リノベーションしたMさん夫妻。価格が手頃で、日当たりも風通しもいいところが気に入ったといいます。
専有面積が45㎡と4人家族には少し狭い気もしますが、実際に訪れてみると面積以上にのびのび暮らせる工夫が随所に施されていました。さっそくリノベ後のM邸を見せてもらいましょう。

キッチンは対面式に。テーブルを横並びにしてスペースを有効活用

ダイニングテーブルをキッチンと横並びに置いてスペースを有効活用

壁付けだったキッチンは、リビング側に水栓&シンクのあるカウンターを設けて対面キッチンに変更。ダイニングテーブルを横並びに配置して、限られたスペースを有効活用しています。

掃き出し窓が2つあり、採光も通風も抜群。窓から大きな桜の木が眺められ、リビングは花見の特等席になるそうです。

既存の掃き出し窓がキッチンを快適に。洗濯動線としても活躍。

対面式キッチンにしたことで、キッチンの突き当りに窓があるレイアウトになりました。外の景色を楽しみながら作業ができて、換気もラクラク。バルコニーに面した窓なので、キッチンの通路は洗濯物を干す動線としても活用しています。

広々と使えるワンルームのLDK

キッチン、ダイニング、リビングの境界があいまいなひと続きのLDKにすることで、どこにいても空間の広さを感じながら過ごせます。天井は躯体現し、梁と柱はグレーに塗装してアクセントにしました。

【この住まいのデータ】

▼家族構成
夫35歳 妻37歳 長男5歳 次男0歳

▼リノベを選んだ理由
周辺の小中学校の評判がよく、価格が手ごろで公園も多いことから東京都内の団地の一室を購入。雑誌やHPで見た施工例が気に入ったリノベーション会社「フィールドガレージ」に依頼することにした。

▼住宅の面積やコスト
専有面積/45.00㎡ 工事費1000万円(税・設計料込み)

LDKの一角には小上がり風のスペースも!

子どもの遊び場にも家族の寝室にもなる小上がりの和室

LDKには、さらに小上がりの畳スペースも!ここは以前は独立した個室でしたが、壁を撤去して畳スペースに一新。昼は子どもの遊び場や昼寝スペース、夜は家族の寝室として大活躍しています。
「キッチンから子どもの様子を見守れるので、安心です」と妻。畳の下部は収納スペースになっていて、45㎡の住まいの収納力をカバーする強い味方です。

雰囲気のある塗装で仕上げたLDKと和室の境界の壁

壁式構造のため、LDKと和室の間仕切り壁はすべてを撤去していませんが、グレーの塗装が雰囲気たっぷり。そしてこの壁の裏側は、パソコンコーナーになっています。

撤去した収納スペースに設けたニッチ風のパソコンコーナー

こちらが既存の収納スペースの一部を撤去して設けたパソコンスペースです。ニッチのようなつくりで、コーナーを上手に使って収納スペースも確保。内部だけブルーの壁紙を使っているのがおしゃれです!

唯一の個室は多用途ルームとしてフレキシブルに活用中

収納や家事室として使っている多用途ルーム

玄関のすぐ横にある、M邸唯一の個室は「多用途ルーム」。現在は収納や妻の家事室として活用していますが、いずれ2段ベッドを置いて子ども部屋にする予定です。

有孔ボードでDIYしたお出かけ用アイテムの収納スペース

多用途ルームの壁の一面には、よく使うバッグと帽子がずらり。Mさん夫妻が有孔ボードを使ってDIYしたものです。玄関のすぐ横の部屋なので、お出かけの準備がとってもスムーズ!

ブルーの壁紙のパソコンコーナーが正面に見える玄関

玄関からLDK方向を見たところ。正面のパソコンコーナーのブルーに目が留まり、奥行き感を感じさせます。右手にはオープンな靴用の棚を造作。左手には多用途ルームが続きます。

スペースを有効活用して水回りもゆったり

在来工法で大きな浴槽のある浴室に

浴室は在来工法で美しく変身。「もともとスペースが狭く、ユニットバスだと小さいサイズしか入らない。でも、どうしても広いお風呂にしたかったので、在来工法で大きい浴槽を入れました」と夫。

ブルーのタイルが映える在来工法の浴室

白いタイルの空間に、一面だけ採用したブルーのタイルがよく映えます。既存の窓もそのまま生かしているため、明るい空間になりました。

洗面室とオープンにつながる浴室

浴室と洗面室がオープンにつながる間取りもスペースの有効活用のアイディアです。シャワーカーテンで仕切ることができる浴室エリアの手前にシャワーコーナーがあり、奥に浴槽が設置されています。廊下との間仕切り壁に室内窓を付けられたのも、在来工法の浴室ならでは。

トイレと一体にした造作の洗面台がある洗面室

浴室の手前側には、洗面室とトイレがあります。水回りはスリーインワンとし、限られたスペースでもゆったり使える工夫をこらしました。造作の洗面台は収納を上部に集中させて、カウンターや下部はすっきりさせています。

オープンな靴用棚を造作した玄関

「環境抜群で予算は当初の半分。この物件に出会えてラッキーでした」とMさん夫妻。リノベで広々&暮らしやすく変身させて、団地のメリットを120%享受しながら、家族4人で快適な毎日を送っています。

間取り(リノベーション前後)

リノベーション前の間取り図リノベーション前

リノベーション後の間取り図リノベーション後

設計・施工/フィールドガレージ
自由な暮らしを提供したいという思いから、2004年にリノベーション専門の設計事務所を設立。現在は工事の請負、不動産仲介も手掛け、リノベ向きの物件探しからローン審査・売却、賃貸管理のお手伝いまでトータルにコーディネートしている

撮影/山田耕司 ※情報は「リライフプラスvol.21」取材時のものです

Source: 日刊住まい

天井高3m、旅館みたいなインナーテラスも…個性的な間取りの団地リノベ

床と壁にタイルを使い、レトロな雰囲気に仕上げた天井高3mのダイニング

夫婦ともに団地での暮らしに憧れがあり、運よく希望の団地物件を購入することができたMさん夫妻。インナーテラスを介して外からの光がたっぷり届くリビングダイニングは、天井高が3mもある広々とした空間です。

団地の個性を生かしながら、回遊性の高い間取りを実現し、レトロモダンな雰囲気にリノベーションしたMさん宅をさっそく見せていただきましょう。

室内に60㎝の高低差がある個性的な物件をリノベ

室内に60㎝の高低差がある

玄関ドアを入って室内へと進んでいくと、60㎝ほどの段差を下りるステップが現れます。団地の1階に位置するM邸は、室内に高低差があるユニークな住まいです。

ステップを下りるとLDKが広がり、リノベで天井板を外したことで3mもの天井高を満喫できる空間になりました。

ゆるく間仕切りしたフリールームとつながる、タイルカーペット敷きのリビング

ステップを下りてすぐのスペースは、床にタイルカーペットを採用したリビング。風通しを考慮して、奥の個室はチェッカーガラスの室内窓で仕切るだけにしています。

柱の間のくぼみを利用してCDラックとオーディオボードを造作したリビングの一角

リビングの壁の1面には、柱の間のくぼみを利用してCDラックとオーディオボードを造作。建具などと同じグレーの塗装で仕上げて統一感を出しました。

玄関からの冷気や視線をカットできるように、LDKの入り口にカーテンを設置

玄関からの冷気や視線をカットできるように、ステップのあるLDKの出入り口部分にはカーテンを設置。ソファ背面側の壁はマグネット塗装で仕上げました。

【この住まいのデータ】

▼家族構成
夫38歳 妻43歳 長男5歳

▼リノベを選んだ理由
それまでは賃貸マンションに住んでいたが、子どもの誕生とともに自分たち仕様の家が欲しいと思うように。夫婦ともに団地に思い入れがあり、団地物件をリサーチする過程で、好みにぴったりだったリノベーション会社・リボーンキューブの施工事例を発見。団地物件の購入が決まると同時に同社にリノベを依頼した

▼住宅の面積やコスト
専有面積/83.82㎡ 物件価格/1800万円 工事費/1200万円(税、設計料込み)

ダイニングキッチンは開放感たっぷりのレトロモダンな空間

インナーテラスと大容量の収納スペースに面したダイニングキッチン

床を大判タイルで仕上げたダイニングキッチン。隣接するインナーテラスはチェッカーガラスの3枚引き戸で閉め切ることができ、採光しながらテラス側から伝わる冬の冷気を遮断できます。右手の黒い引き戸は収納スペース。

旅館の広縁をイメージした、ダイニングキッチン隣接のインナーテラス

「旅館の広縁みたいなスペースが欲しかった」という夫の希望で設けたインナーテラス。夫がのんびりくつろいだり、妻が仕事をしたり、多目的に使っています。

業務用のキッチンにあたたかみを添える木製の食器棚

仕切りの少ない開放的な空間にするため、キッチンは壁付けに。クールな業務用キッチンを選びましたが、レトロな食器棚や壁&床のタイルでぬくもりも感じられる空間に仕上がっています。

ダイニング横の収納内部は、ぴったりサイズのシェルフで整理整頓

ダイニング横の収納は、ぴったりサイズのシェルフを使って整理整頓。「大容量なので収納はここだけで十分。逆にここに入らないほどモノを増やさないようにしています」と夫。

素材にこだわりながらシンプルに仕上げた水回り

木製ハンドルの水栓やモザイクタイルなど、細部にこだわった洗面室

高低差のあるM邸の「高い場所」にある洗面室。奥の引き戸はトイレで、右手には浴室がつながります。

壁付けにした実験用シンク、木製ハンドルの水栓、モザイクタイルなどを採用して、シンプルな中にも個性が感じられるスペースに。

在来工法で仕上げた、馬目地タイル貼りの浴室

ユニットバス不可という団地の規約により、浴室は在来工法で仕上げました。タイルを馬目地貼りにした壁やホーローの浴槽などを組み合わせて、レトロモダンなテイストに。

落ち着けるように壁を紺色の塗装仕上げにしたトイレ

塗装仕上げの壁はほぼ白を選んだM邸ですが、トイレだけは紺色に。ダークトーンでまとめることで、落ち着いてこもれる雰囲気を演出しています。

寝室からオープンな下駄箱がある玄関を見たところ

玄関横の子ども部屋は、現在は家族3人の寝室として使っています。いずれ夫婦の寝室にする可能性も考えて、内装はシンプルに。

ドアを開けるとリビングまで見通せる玄関

床下と壁に断熱材を入れたり、外壁側の壁に特殊塗装を施したりして、1階の物件の悩みどころである結露&カビ対策も万全におこなったM邸。

室内環境が高まり、間取りの工夫や高低差の活用で開放感も満点。理想だった団地での暮らしを満喫しています。

間取り(リノベーション前後)

リノベーション前の間取り図

リノベーション前

リノベーション後の間取り図

リノベーション後

設計・施工/リボーンキューブ
京都を中心にリノベーションの企画・設計・施工を手掛け、代表の荒井弘さんがデザインを担当。不動産の売買・仲介もしており、中古物件探しからプランニング、住宅ローンの斡旋、アフターサービスまでトータルにサポートする。 IKEA キッチンの正規取扱店でもある

撮影/飯貝拓司 ※情報は「リライフプラスvol.25」取材時のものです

Source: 日刊住まい

工事費450万円の団地リノベ。緩やかに仕切ることで快適SOHOを実現

リビングでくつろぐ夫妻と猫

バルコニーからの緑豊かな眺望が心地よい、昭和55年築の大規模団地の一室。約77㎡の空間を450万円というローコストでリノベーションし、夫妻と猫がそれぞれのペースで穏やかに暮らせるSOHO住宅へと生まれ変わりました。

緩やかにつながる、それぞれのお気に入りの場所

ラワン板で緩く仕切ったリビングダイニング

夫は建築家、妻は書道家のため、それぞれのワークスペースを設けながら、仕切りは少なめにして全体を緩やかにつなげた長久保邸。猫も含めた家族がそれぞれにお気に入りの場所をもち、マイペースに暮らせる空間になっています。

家族みんなのくつろぎの場所であるリビングダイニングはラワン合板の壁で緩く仕切り、奥行きと変化を演出。壁と同じく床材もラワン合板を使用し、ドイツの自然塗料メーカー「AURO」のワックスをDIYで塗装しました。木目に若干の色味を加えて、ハーフマットな仕上げに。

ベンチにもなる本棚のあるリビング

ラワン合板の壁の先はリビング。窓際にはベンチにもなる本棚を設けました。ベランダに置いた植物の鉢部分を隠し、窓辺の景色のごちゃつきを整理する役割も担っています。

「設計を考えるうえで重視したかったのは、窓からの眺めのよさや風が気持ちよく抜けることなんです」と夫。

リビングから見たキッチン

ダイニングの奥はキッチン。間仕切り壁の上部には、団地らしいすりガラスをそのまま残しました。

【この住まいのデータ】
▼家族構成
夫(52歳)、妻(49歳)、猫
▼リノベーションをした理由
「建築家である夫が設計した家に住みたい」という妻の長年の夢があり、リノベーションを前提に高齢になっても快適に住むことができる物件を求めた。コストに加え、眺め、光、周囲の環境などを総合的に気に入り、以前の住まいのオーナーチェンジをきっかけに購入とリノベーションに踏み切った。
▼建物の築年数
39年(昭和55年築)
▼住宅の面積
専有面積/77.11㎡

キッチンの壁はヴィンテージ感のある接着剤の跡を生かして

壁の一部を現しにして黒タイルで仕上げたキッチン

以前は壁紙とタイルが貼られていたキッチンの壁は、すべてはがして現しにしました。壁に残る接着剤の跡は独特の色と質感でヴィンテージ感があります。使いやすい位置にオープンな棚を取り付け、その下を黒いタイルで仕上げました。

ステンレスワークトップのあるキッチン

ステンレスのワークトップは建材やパーツを扱うtoolboxで購入し、コストダウンのため自ら発注して搬入。ベースの部分は造作し、調理器具のほかゴミ箱なども収納できるように工夫しています。レンジフードもtoolboxのもの。

夫婦のワークスペースは緩やかに仕切るだけ

玄関に新設した大きめの下駄箱

玄関には傘やアウトドアグッズも収納できるように、やや大きめの下駄箱を造り付けました。

拡張した玄関の横にあるワークスペース

その玄関のすぐ隣は、夫のワークスペース。窓からの景色が引き立つよう、壁を青みのあるグレーに塗装しています。

自転車も置ける広い土間玄関

玄関はたたき部分を大幅に拡張し、自転車や植物、冬は石油ストーブを置くなど、何かと重宝しています。

妻の書斎に変更した和室

和室だった空間はほぼそのまま活用し、妻の書斎と収納スペースに。有孔ボードを取り入れた収納棚を造作して緩やかに場を分けました。

ローテーブルのある書斎

窓際にローテーブルをしつらえ、読書や作品の制作に集中できる空間になりました。

サニタリーはミニマム&レトロ感をプラス

現しと黒タイルで壁を仕上げたサニタリー

洗面室の壁もキッチンと同様、壁が見とタイルをはがして現しにし、下部を黒いタイルで仕上げました。シンプルな洗面ボウルとミラーキャビネットのみでミニマムに。天井は現しにしたあと、DIYでグレーに塗装しました。

有孔ボードで作ったドア

サニタリー入り口のドアは、有孔ボードを使ったオリジナル。レトロな「National」のスイッチプレートは既存をそのまま生かしています。

造り付けの本棚

「耐震性などのインフラ面はもちろんですが、老後の暮らしも考えて予算的に無理をしないことが条件でした」と夫。自らで設計するうえでイメージを最も実現しやすいという理由で団地を選択し、SOHOへとリノベーションをしました。

窓の外には自然を感じながら、夫妻と猫がいくつもの「とっておきの場所」でゆっくりくつろげる暮らしを送っています。

間取り(リノベーション前後)

リノベーション前の間取図

リノベーション前

リノベーション後の間取図

リノベーション後

設計/長久保健二設計事務所
撮影/山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.33」取材時のものです

Source: 日刊住まい

物件価格400万円の団地リノベ。昭和レトロ感に古家具が似合います

団地特有のレトロ感を活かした団地リノベーション事例

団地のもつ独特なレトロ感に表情豊かなインテリアが溶け込むこの空間は、注文住宅からリノベーションまで幅広く手掛ける住宅会社・ピーズサプライの代表である小牧徹さんの住まい。神奈川県横浜市内で物件とリノベーション費用合わせて1000万円程度で実現できたという「団地リノベ」で、大好きな古家具に囲まれた新しい暮らしを始めました。

団地のレトロ感を生かした、古家具の似合うLDK

昭和レトロ感を残したキッチン

小牧さんがリノベーションで最も大切にしたのは、団地が本来持っている「昭和レトロ感」を上手に残すことでした。すべてを新しくするのではなく、「これはかわいい」と思った箇所は極力そのままに。好きな古家具で空間を緩やかに仕切り、気分によってレイアウトを変えられる余白も残しました。

キッチンは吊り戸棚を撤去し、設備は状態がよかったのでそのまま使用。面材の取っ手だけ付け替えをしました。コクがあってレトロな空間に馴染んでいるタイルは、平田タイルの「カカオブリック」です。

LDKのオープン収納

LDKにはオープンなチェストを置き、お気に入りの器や雑貨をディスプレイ収納。随所に飾られたドライフラワーやグリーンがで、空間がより心地よく演出されています。

壁や扉を多く設けず、広がりある空間に

壁や間仕切りのない寝室

リビングに隣接している寝室は、以前は和室だった場所。壁や間仕切りは設けずに、家具でゆるく仕切っています。

書斎スペースを設けた寝室

寝室の一角にはローテーブルを置いて、ちょっとした書斎スペースも設けました。「風がよく通って気持ちがいい場所」(徹さん)と、壁がないことで風通しは良好です。

ウォークインクロゼットで収納量を確保

玄関横にあった和室はウォークインクロゼットにして収納量をたっぷり確保。小牧邸唯一の個室です。ハンガーパイプを取り付けて、洋服とほとんどの荷物を収納しています。扉ではなくカーテンにしたことで、使いやすさとコストダウンにつながりました。

下駄箱でゾーニングしたウォークインクロゼット

ウォークインクローゼットは下駄箱で緩やかにゾーニングしています。天井に設置した物干しのおかげで、ちょい掛けや部屋干しなどがとても便利に。

【この住まいのデータ】
▼家族構成
夫妻
▼リノベーションをした理由
団地が好きで「富士山が見える団地、マンション」で検索して物件を見つけた。窓から富士山がきれいに見えたことと、エレベーターなしの最上階だったため物件価格が400万円とリーズナブルだったことが決め手となり即決。
▼専有面積
46.13㎡(ワンルーム)

▼建物の築年数
52年(昭和43年築)

水まわりにもレトロ感を残して

レトロ感のある正方形のタイルと実験用シンクを組み合わせた洗面

窓があって明るい洗面室には、レトロ感のある正方形のタイルと実験用シンクを組み合わせました。

壁を撤去したツーインワンのトイレ

以前の洗面室はとても狭かったので、トイレの壁を思い切って撤去。細切れだった空間をつなげてゆとりをプラスしました。配管の都合で一段下がっているトイレの床はタイル敷きに。

在来工法で作り直した浴室

在来工法だったバスルームは、ユニットバスと交換するのが早くて安いものの、そのレトロな雰囲気をどうしても残したくて、同じ在来工法でつくり直しました。「防水をきちんとやらなければならないので、ここは少し予算をかけてこだわりました」と妻。

団地の中の公園

緑に囲まれ、バルコニーからは富士山を眺め、団地のもつ独特な空気感を楽しみながら暮らしている小牧さん。「リノベ込みで1000万円程度で家を持てるから、2軒購入して二世帯近居という選択肢も大いにある。団地は可能性の宝庫ですよ」と話してくれました。

間取り(リノベーション前後)

リノベーション前の間取図

リノベーション前

リノベーション後の間取図

リノベーション後

設計・施工/ピーズサプライ
撮影/山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.33」取材時のものです

Source: 日刊住まい

本棚たっぷりのワークスペースをリノベで実現。趣味を満喫できる家に

本棚をたっぷり備えたワークスペースとリビング

700万円という手ごろな物件価格と、駅近なのに静かという環境の良さから団地リノベに踏み切ったYさん夫妻。趣味を思いきり楽しむため、本棚をたっぷり備えたワークスペースをリビング横につくりました。ふたりの心地よい距離感を保てる、ワンルームのような約56㎡の空間です。

趣味を満喫できるゆとりあるワークスペース

「自分たちの暮らしに間取りが合わなくて」というYさん夫妻。最優先して広くとったのは、夫妻共通の趣味を楽しむためのワークスペースでした。資料となるたくさんの本を収める本棚と、ふたり並んで作業ができるゆとりあるスペースを確保しています。

ワークスペースからリビングを一望

ふたりの暮らしから趣味は切り離せないので、ワークスペースはリビング横に。そのため、どちらかがリビングにいてもコミュニケーションがスムーズです。仕切りが少なくワンルームのようなY邸ですが、ふたりの生活リズムが異なっても気兼ねないよう、ワークスペースと離れた位置に個室の寝室を設けるという間取りの工夫も。

ふたり並んで作業できるワークスペース

本を開きながら作業することもあるため、カウンターの奥行きは70㎝と広めに確保。カウンターの背面にはオープンな本棚を造作しました。

引き戸付きの本棚を設置

既存では押し入れがあった位置には、引き戸付きの本棚もつくりました。リノベ前はLDK入口に取り付けられていた引き戸を再利用しています。

【この住まいのデータ】
▼家族構成
夫(35歳)、妻(31歳)
▼リノベーションをした理由
共通の趣味をたっぷり楽しみたいふたりに、以前の住まいでは間取りが合っていなかった。趣味のための広々としたワークスペースが欲しかったのと、以前から犬を飼いたいとも思っていたためリノベーションを決意。
▼住宅の築年数
47年(昭和47年築)
▼住宅の面積
専有面積/56.73㎡(1LDK)

寝室とサニタリー以外はひと続きの空間に

仕切りなしのワンルームのような家

「間仕切りのないスタイルがふたりには合っているんです」と、ワンルームのような一体感のあるつくりに。リビング、ダイニング、キッチンは壁やカウンターでゆるやかに仕切りましたが、視線は奥までスッと抜けていきます。

オープンな玄関

リビングと隣接した玄関も扉がなくオープン。リビング側には壁を立て、圧迫感が出ないよう腰壁はガラス入りの建具にしました。

コンパクトで手入れがしやすいステンレスキッチン

妻の希望でキッチンはステンレスキッチンをチョイス。「コンパクトで手入れがしやすく、使いやすいです」(妻)。

食器棚を兼ねるキッチンカウンター

キッチンカウンターのダイニング側には、出し入れしやすいオープンな食器棚を造作しました。

2つ並んだ色分けした扉

キッチン横に置かれた冷蔵庫の両サイドには、色分けした扉がふたつ並びます。ブルーの扉はウォークインクロゼット、イエローの扉は寝室の入り口です。

パントリーも兼ねるウォークインクロゼット

ウォークインクロゼットはパントリーや書類の収納場所としても活用しています。

水まわりは広い浴室を最優先

キッチン横からサニタリーへの動線

水まわりは位置を変えず、キッチン横の扉が入口になっています。正面がその扉で、右側の折れ戸の中には洗濯機があります。洗濯機置き場は元々サニタリー内にありましたが、広さを確保するために移動させました。どちらの扉も通気性がよく、圧迫感が少ないルーバータイプをチョイスしています。

トイレと洗面が一体になったサニタリー

オレンジ色の天井の効果で、空間全体が明るく感じられるサニタリー。浴室を広げるために、2in1でホテルライクに。洗面カウンターとその脇の腰壁はモルタル仕上げですが、クラックが入りにくいように木の下地に薄く塗るという工夫も施しました。

在来工法の大きなバスルーム

縦に広くとった浴室は在来工法で仕上げ、夫の希望だったという大きな浴槽を取り入れました。

「次は以前から楽しみにしていた犬を飼いたい」と話す夫妻は、犬が歩きやすく汚れにも強い加工をしたフローリングも備えて準備万端。趣味のある毎日を楽しむ夫妻の暮らしに、新しい家族が仲間入りする日も近そうです。

設計・施工/フィールドガレージ
撮影/水谷綾子
※情報は「リライフプラスvol.33」取材時のものです

Source: 日刊住まい